Nagi

ノルウェイの森のNagiのネタバレレビュー・内容・結末

ノルウェイの森(2010年製作の映画)
2.7

このレビューはネタバレを含みます

原作が大好きで大好きで、だからこそずっと観るのを躊躇っていた映画版。

かつて原作の世界観に溺れるほど好きだった物語だからこそ評価は厳しくなってしまう。僕的にはもっともっと映像にするべき、肉声を聴かせるべき場面が他にあったのではと思う。例えば礼子さんの過去の話とか。近所で火事が起きてる中緑と語らうシーンだとか。それに色も足りない。もっとセピア色でいいんだ。儚い色あせたセピア色で描いて欲しかった。これは色彩のことを言っているのではなく。取り留めのないフラグメントを集めたみたいで、この物語特有の日常の全ての瞬間が特別な意味を持っているのかも知れないと思わせる実存的な雰囲気が失われてしまっているように思えて残念。そして直子の死のシーン。あれはやめてほしい。音楽の使い方といい、嫌気の指すようなジャパニーズホラー風の色使いと演出。人の生と隣り合わせの死を描いているのに、そうやって仰々しくまるで死が生というものから断絶した何かとてつもなく恐ろしいものかのように描くのはこの原作がまちがってものぞんでいなかったことだろう。
と、ここまで鬱憤を晴らすように殴り書いた訳だが、最後に一言言っておこう。

水原希子の緑は、間違いない。
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