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真夜中のピアニストの一のレビュー・感想・評価

真夜中のピアニスト(2005年製作の映画)
3.8
フランスの巨匠 ジャック・オーディアール監督作品

不動産業の裏社会に生きながらも、ピアニストの夢を追う青年の葛藤を描いたクライムムービー

これは金と暴力にまみれたチンピラがピアニストを目指すキラキラした物語ではない
あくまで居場所がない現状を打破したい身勝手な男の哀愁漂う成長&葛藤物語

ハードボイルドでスタイリッシュなテイストを持ちながら、直接的なバイオレンスは他の作品に比べると控えめ

しかし、思わず巧いなぁと声に出してしまうほど相変わらず演出が巧みで、雰囲気作りも天才的に巧い

父親との関係性、愛と憎しみの入り混じった感情を鮮やかに映し出し、純粋に夢を求めながら、理性と汚れた本能で葛藤する様子が生々しく描かれる

散りばめられたユーモアのバランスも抜群で、映画のトーンとのギャップにまんまとやられてしまう
中でも、中国人講師とのピアノの練習シーンがめちゃくちゃ好きだった

なにより、主演のロマン・デュリスがすさまじく繊細な演技の幅で、静と動を丁寧に表現する本当に見事な演技で、物語の説得力を極限まで高めてくれる

一応リメイク作品らしいですが、ジャック・オーディアール監督はハズレがないどころか、当たりしかないからマジで凄すぎる

それにしても相変わらず取って付けたような邦題には反吐が出るし、こんな変な先入観を持ってしまうようなタイトルでは誰も得しないのに…

〈 Rotten Tomatoes 🍅86% 🍿84% 〉
〈 IMDb 7.3 / Metascore 75 / Letterboxd 3.6 〉

2021 自宅鑑賞 No.308 GEO
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