ウシュアイア

人生万歳!のウシュアイアのレビュー・感想・評価

人生万歳!(2009年製作の映画)
3.3
[あらすじ]
初老の元天才物理学者・ボリスは、妻との生活について観念的な理屈をこねているうちにマンションの窓から飛び降りてしまい、その後妻とは離婚、大学教授の地位を失う。

その後も周囲の人間を相手に議論を吹っかける、絵に描いた偏屈な生活を送る。そんな彼の元に、若く美しい家出娘メロディが転がり込んできて、お金を貯めたら出ていくはずのメロディはボリスに惹かれ、勢いで結婚してしまう。

そこへ、メロディの母親、その母親と離婚した父親がやってきて、メロディの母親はメロディを若くてハンサムな男とくっつけようと画策するなど、ボリスの周囲に波乱が巻き起こる。



ウディ・アレン監督作品を好んで上映してきた恵比寿ガーデンシネマが休館、ということで、今後はウディ・アレン作品に希少とみて、観賞してきた。

話自体はテンポよく進んでいき、典型的なドタバタコメディであった。

ハリウッドのコメディは、大統領やミリオネアになったと思いきやその後転落、というような展開だったり、何かとスケールが大きく、非現実的過ぎる話が多いが、この作品の場合、スケールが小さく収めているおかげで、あり得ない話なのに、現実の延長に話が見えてくる。

しかし、『ウディ・アレンの夢と犯罪』の時と同じように、平凡と紙一重の優等生的作品なのだが、そのドタバタ感もさすがにやりすぎて、時代錯誤感を覚えなくもない。せめて、ボリスとメロディの関係を同居人、ルームメイトにとどめておくべきだったのではないか。

偏屈なオヤジのところに無邪気な娘が現れ、オヤジの偏屈ぶりがほぐれていくという筋書きに、メロディとの結婚まで必要だったのか、ということは疑問だ。

ボリスと結婚してしまったせいで、メロディは無邪気な娘というイメージからただの変な娘になってしまった。でも、最終的な登場人物は変人だらけだからいいのか。

(2011年1月19日)
ウシュアイア

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