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ランボー 最後の戦場のペインのレビュー・感想・評価

ランボー 最後の戦場(2008年製作の映画)
4.7
“漢(オトコ)になるための通過儀礼”

最近はPTA「ファントム・スレッド」やエドワード・ヤン「恐怖分子」など“立派な映画”を観て満たされていたはずだったが、どこか心は空虚だった。

そう、気づいてしまった。今の俺にはスタローンが足りないのだと。案の定、本作を観てやはりスタローン不足だったと判明。

未だにスタローンと聞くと半笑いする奴がたくさんいる。アクションバカだと。そんなことはないのに。彼はアメリカンニューシネマの影響を色濃く受けたとても誠実な映画人だ。「ランボー」一作目を観てバカアクションだと思う人は誰もいないはずだ。2と3はバカアクションだが(笑)

てなわけで本作は一作目のアメリカンニューシネマ的要素が色濃い原点回帰した大傑作だ。良い意味で全く楽しくなくカタルシスがない。それは今世界中ではびこる暴力や戦争をまざまざと目を背けたくなるほどの描写で描いているから。

ランボーシリーズ史上初のR-18指定。全編凄まじい残酷描写だが特に終盤の大殺戮は映画史に残るだろう。暴力には暴力で立ち向かうしかない。殺人マシーンランボーが本性をむき出しにしたとにかく切ない映画だ。

せっかく村人を助けてあげたのに村人から軽蔑の目で見られてしまうスタローンの悲哀。その悲哀の演技が絶品。スタローンは俳優としても過小評価されている。

てなわけでなんかいつもより力の入ったレビューをしてしまいましたがとにかく戦争映画史上の大傑作なので未見の方は是非。
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