このレビューはネタバレを含みます
エンディングだけで良いと思うことは少ないけど、これはいいエンディング
勇作の役は現代では絶対アウトだろうが、勇作なしにはこの作品の素晴らしさは存在し得ない。今じゃ一登場人物として扱うにはセンシティブすぎるのかもしれないが、そうしないのが果たして正しいのかとつい考えてしまう。
戦後日本を題材にした映画といえば最近『ゴジラ-1.0があった。あとは趣里主演の『ほかげ』とか。さすがにこの映画みたいに戦後日本を題材にした大衆喜劇は生まれないのかな。先の例のように笑いにするにはあまりにもセンシティブなことが多いからだろうか。
淡島千景、美人だなぁ。
勇作を消灯ラッパでしずめるシーンが好き
「そうは問屋が下さないよ」を寅さん以外がいってるのを初めて見たかもしれない
ユウコさんを気の毒な娘だと言いながら、自分の息子の嫁にはしようとしない母親。育てられない子供ばかり作る親。入院費を払えないことに引け目を感じ続ける患者。金のために博打をやめられない男。
一つ一つの人物に対する造形が深い。
一つの関係や狭い人間ドラマに焦点を当てる映画もいいが、群像劇(?)というのか、色んな人がいてそれだけの生活や人生があることを描く映画が好きだ。最近だと『ちひろさん』という漫画原作の映画がそれに近かった。『男はつらいよ』も少なからずそういった一面がある。寅さんの決して叶わぬ恋愛もあるが、あれは寅さんが旅先や柴又で出会う人々の生活、風俗を描く映画だ。そこに惹かれているのかもしれない。
「満足に育てる能力のないものがやたらに子供を産む。愚かなことだよ。産むことより幸福に育てられるかを先に考えることだよ。それが本当の親の愛情だ」
貧しく愚かな人間への痛烈な批判でありながら人間賛歌でもある映画
「戦後庶民の風俗を風刺の効いたタッチで描いた喜劇」だそう