Jeffrey

翼に賭ける命のJeffreyのレビュー・感想・評価

翼に賭ける命(1957年製作の映画)
3.0
「翼に賭ける命」

冒頭、1930年代の大恐慌時代。新聞記者のバーク、曲芸飛行、陰影に富むモノクローム、複雑な関係、アパート、親友、整備士、愛の悲劇。今、飛行機の舞う空に、男と女の思惑が交差する…本作は1957年にダグラス・サークが監督したウィリアム・フォークナーの1935年の長編小説"標識塔"を原作としている本作はまだ未見だったため、今回のBDボックスに収録されていて非常に嬉しかった。スペクタクルな航空シーンは圧倒された。今思えば彼のモノクロ映画はこの作品が初めてかもしれない見たの。しかもメロドラマとは違って、ブルジョワ家族のドラマからその日暮らしの貧しい一家を主人公としているのも風変わりである。そして背景には第一世界大戦の過去や30年代世界恐慌の暗い世相が反映されている。

それに謝肉祭で賑わうニューオリンズが舞台になっており、わりかし楽しいムードが作り出されている。いわゆる古典的悲劇である。俺はあまりサークの作品を見ていないし、彼のことも詳しく書籍を読んだり調べたりあまりしていないので素人同然なのだが、メロドラマ映画ばかり撮ってると思っていたのだが、この作品に関しては全くもってそのような要素がない。どちらかと言うと古典演劇のような映画であった。しかしながら残酷なストーリーと言えばそうではある。個人的にはモノクロ映画がカラー映画よりも好きなのだが、この監督に限ってはカラー映画がダントツに良いだろう。この作品以外の彼の有名どころで傑作とされている作品のみしか見ていない分、この作品をどう評価すればいいかよくわからない。良い映画なんだろうけど、他作を見ている分比較してしまうと全然好みな映画ではない。
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