ちろる

あぜ道のダンディのちろるのレビュー・感想・評価

あぜ道のダンディ(2010年製作の映画)
3.8
くすぶってる中学時代、いつかはもっとイケてる大人になれると信じてた・・・
しかし、妻に先立たれ、子どもたちとの関係も仕事も思うようにいかずにイライラが止まらない光石研さんと、一歩後ろからいつも見守るおっとりとした幼馴染みには田口トモロヲさん。
理不尽な事ばかりですぐ怒る光石研さんにすぐ謝る優しさとか、いつでも駆けつける包容力とか、そんな彼の存在感が実はこの物語にとっての1番の肝であり、中学生の頃になりたかったイケてる大人にになれなかった大人にとって、同じようにくすぶるそんな友達がどんなに救われる事か。

妻が死んで、ポッカリ開いた親子関係の中、
言いたいことの2割も伝えられなくて、娘と息子がこの家から離れていく日が刻一刻と迫るけど、俺は一体どれだけの言葉と愛を与えられたのだろうか?と、不安に思う。
子どもたちも1人イライラする父親とどう接していいか分からない浪人生の息子と受験生の娘。
嫌いじゃないのに、反抗しちゃう。
憎くないのに避けてしまう。
でも、亡くなったお母さんを愛していた。
その共通項だけが分かれば、家族はもう一度繋がれる。
前半キリキリしてた怒りっぽくてケンケンしてた光石研さんが、子どもとプリクラ撮れてからだんだん穏やかになって優しい顔を見せるようになったあたりからこちらの心も自然に溶けてくる。
パッケージは仲良し2人がおしゃれに帽子かぶってるのが泣けるよ。

結構真面目で、泣けるのにシュールな感じちょいちょい入れてくるのが流石石井監督です。

うちのパパもたしか学生時代の私の引っ越しの為に借りたバンを、速攻で擦ったな・・って事を思い出しながら泣けた。
娘からしたら、一緒にいるとき父親との時間もっととっとけば良かったなとしみじみする作品なので、娘に優しくされたいおとうさんはそっと、娘に薦めてみたらいいんじゃないかな。
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