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スウィング・キッズのan0nym0usのレビュー・感想・評価

スウィング・キッズ(1993年製作の映画)
4.2
スウィングしなけりゃ…

意味がないんです!!(宣言)

声高に讃えよ!!

スウィング・ハイル!!
(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)/⁾⁾

…いやこれ、めっちゃ良かった✨

ナチス政権下のドイツで、実在した“スウィング・キッズ”と呼ばれた若者たちの友情と悲劇の物語。ジャズ成分はやや控えめで音楽映画って感じではないですが、しっかりと作品の支柱になってました。

ナチスにとって敵性音楽であるジャズを愛する3人の青年。とある事がきっかけでヒトラーユーゲント(ナチス党の青少年組織)に入団する事を余儀なくされた主人公のピーターを軸に、ナチスの思想を拒絶するアーヴィッドと、思想に迎合し染まってしまうトーマス。思想に引き裂かれた3人の友情の、苦味のきいたストーリー。

ナチス政権下の物語は沢山あるけど、今作はドイツ国内の若者たちを描いているので、如何にしてナチズムというイデオロギーが浸透していったのかを見る事ができて良かった。これで台詞がドイツ語なら完璧だったかな…(苦笑)

悲しいかな日本も『天皇万歳』って特攻した若者たちがいたわけで…軍国主義ってのは、私達にも身近な歴史ですよね。

直接戦争を描いた映画やホロコースト題材の作品に比べればライトにも思えますが、決して軽くはありません。作中では『ハイドリヒを撃て』のチェコ占領の話題も出てきました…この作品は1939年が舞台で、第二次大戦が終結するのが1945年…そんな時期の物語である事を忘れずに観てもらいたい。
当時の日本の鏡であるとも言えるはずです。

そういった重苦しさは観ていて苦しいけど、それ以上に受け取れるものがある良作だと思いました。

素晴らしい音楽がそこにあるのなら、国境も、人種も、言葉の違いも…関係ない。

それこそが…真に在るべき姿だと思う。
だからこそ音楽は至高なんだよ。

それが、この有名すぎるぐらい有名なスウィングジャズの名曲から、心に直接響いてきた。歌い継がれるべき神曲だね。

ラスト、ピーターが連行されるシーン…

It dont mean a thing if it ain't got that swing…
それが3人を繋いでいた。
哀しみもあるけど、そこには音楽が在った。

それに意味がないんじゃ、意味がない。
それは無駄にしていいものじゃない。

苦しい日も、泣きたくなる日も、現実に疲れてしまっても…音楽は心を揺り動かしてくれる。
音楽にはその力がある。

雨に唄えばを聴けば、憂鬱な雨の日を楽しくする事ができるみたいに…音の魔法で世界を美しく彩る事ができる。

希望的観測でしかないかもしれないけど、平和とか調和とかって…そういうものの先にあるんじゃないかな?

好きなものを好きだと言えない事ほど馬鹿らしい事はないし、それは誰にも邪魔できない事だから。感情まで管理されるディストピアにはいたくないもん。

心を躍らせる音で満たしたいの。

心を躍らせる事で満たしたいの。

あのダンスホールみたいに。

スウィング・ハイル!
美味しいものハイル!(爆)
(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)/⁾⁾

いい作品に出逢えて良かった✨
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