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サスペリアのfumingのレビュー・感想・評価

サスペリア(1977年製作の映画)
3.7
最も好きな洋ホラー映画。
怖いのに美しい絵作りや演出、ゾワりとしつつも不思議なゴブリンのテーマソングなど、とにかく作り手のセンスが非常に好みである。
内容は、バレーの名門校に入った主人公がそこで数々の怪奇に遭遇してしまうというクラシックな内容。いかんせん古い映画なので粗の多い部分もあるが、この映画は役者の演技や演出、そして劇中の美術が素晴らしい。主演のジェシカ・ハーパーはまだあどけなさが残る見た目から実に真に迫った演技を見せてくれるし、それを盛り立てるおどろおどろしくも不思議なプログレ音楽、文字通り画面を真っ赤に染める前衛的な演出など非常にアースティックな作品に仕上がっている。インテリアや装飾、テキスタイル調の壁紙なども見事。映画の随所に独自のこだわりを感じられる。流石はイタリア人監督の映画といったところか。
伴って、映画の雰囲気も怖いというよりかは苛烈で不気味さが漂い、不安に駆り立てられるようなものとなっている。洋ホラーは名物モンスターが登場したりスプラッタ色の強い作品の割合が多いが、そんな中奇妙で独特の雰囲気と作風を持つ本作はスリラー映画を語る上で欠かせない1作だろう。「美しい」この映画をぜひ1度は観てもらいたい。
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