ストレイト・ストーリーの作品情報・感想・評価

「ストレイト・ストーリー」に投稿された感想・評価

またみたい
あの『ツイン・ピークス』や『マルホランドドライブ』を撮った監督が作った映画とは思えないほど、心が芯から温まる映画でした。
映像の美しさと控えめながらも印象に残る音楽も素晴らしい。
ゆるーーーーーくいい。
sonozy

sonozyの感想・評価

4.0
1999年 デヴィッド・リンチ監督作
インディペンデント・スピリット賞 主演男優賞、ニューヨーク映画批評家協会賞 主演男優賞
アカデミー 主演男優賞 ノミネート、カンヌ国際映画祭 パルム・ドール ノミネート他

1994年のニューヨーク・タイムズに掲載されたアルヴィン・ストレイトという男性の実話がベース。

73歳のアルヴィン・ストレイト(リチャード・ファーンズワース)は娘のローズ(シシー・スペイセク)と暮らす頑固な爺さん。
ある日、10年以上絶縁状態だった兄のライル(ハリー・ディーン・スタントン)が倒れたという連絡を受ける。

ウィスコンシン州にいる兄の家までの距離は500km以上。
糖尿病、肺、腰を患い、歩くには2本の杖が必要で、目も悪く車が運転出来ないアルヴィンですが、自力で兄に会いに行くと決め、屋根もなく非力な芝刈り機的なトラクターに寝床代わりのトレーラーを引かせるという無茶な旅に出ます。

唯一リンチらしいと言えそうなシーンは、旅の途中、車で鹿を轢いてしまった女性のエキセントリックなキャラ。笑
このビジュアル通り、リンチらしからぬ ほっこりロード・ムービーでした。
みんと

みんとの感想・評価

4.0
シンプルで感動的なロードムービー。
しみじみと人生を考えさせられる作品だった。

何より先ず芝刈り機で旅するアルヴィンがとても愛らしい。人生の四季で言うなら玄冬期、人生の忘れ物を探す旅は積み重ねて来た年月がもたらすいぶし銀とも言うべき言葉で溢れ、間がもたらす奥深さを感じた。
歳をとるということは決して悲しい事じゃないんだ!強くそう感じた。

広大な田舎の風景と染み入るカントリーミュージックのもの寂しげなメロディー。
自分自身も大地のど真ん中に落とされたような錯覚に陥る。

都会じゃ考えられない、忙しない日常でも考えられない、人生の事…
自然を感じ一人ゆっくりと穏やかに旅するからこそ見えてくるものって確かにあるような気がする。

そして再会のシーンに言葉なんていらない。
ただ二人肩を並べて空を見上げれば良いんだ。
言ってしまえば人生に意味なんてものは存在しないんです。「人生の意味とは?」という疑問は何百年も前から存在するものですが、その考えは”言葉のあや”であり解ける問題ではないんです。ウィトゲンシュタインの有名な理論です。なので僕はそんな有りもしない物に対して悩み続けてつまらない時間を送るよりも、自分の今生きている状況の中でどんなにちっぽけな物でもいいので何か目標を立てて生きることの方がよっぽど大切だと思います。
そしてその中で人との出会いや交流を大切にして、その目標に向かって真っすぐ”ストレイト”に自ら歩んでいく事が大切なんだという事をこの映画を観て学びました。本当に素晴らしい映画です。
音楽良し、ストーリー良しのロードムービー。
73歳の主人公アルヴィンが病気で倒れた兄へトラクターで会いに行くロードムービー。
凄く良い映画だった。所々で会う人たちの優しさや主人公アルヴィンの優しさがにじみ出る映画。
紫煙

紫煙の感想・評価

4.0
デヴィッド・リンチは、テレビドラマ『ツイン・ピークス(1990年-91年)』を知るのみだったのだけれど、素敵なレビュアーさんとのやり取りを通して、映画作品3つを続けて観た。

『ツイン・ピークス』を観終わったときに思ったのは、これ以上のものは、たぶんこの監督から生まれることはないということで…3作品を観る限り、その直感は正しかった。

けれど、そのレビュアーさんの持つ、オンリーワンの内的世界が作品世界と響きあい、私1人では決して得られない深みが加わることになった。

そのことを嬉しく思う。

たぶん、そのレビュアーさんにしてみれば、自分の何から…と思われるだろうけれど、ひと1人がもつ内的世界は、本人の意識や思惑を超えて、とほうもなく深いものとつながっている。

そのつながりを持つ人は、ある種の回路を開いていて…私にはそれがよく分かる(逆に回路を閉じている人も多い)。ちょっとした文章ひとつの中にも、ご本人の思惑を超えた深みがある。

そして、リンチ作品はすべて、魔的なものを通し、そのような意識を超えた深みに近づいてく話となっている。

一にも二にも、このことを味わったかどうかがポイントになるわけで、難解なのはストーリーではなく、暗喩や象徴を通してしか語りえないということが、ある人にとっては不慣れであったり、受け入れ難いことなのだろうと思う。

特にリンチ作品は、オカルト的な暗喩や象徴を使うため、なおさら難解に感じるのかもしれない。

そうした中、このヒューマンドラマ『ストレイト・ストーリー(1999年)』は、サイコスリラー2作品『ロスト・ハイウェイ(1997年)』と『マルホランド・ドライブ(2001年)』に挟まれるように撮られている。

このことを、私はリンチらしいと思う。

というのも、『ツイン・ピークス』は、ミステリー風のサイコスリラーであると同時に、深いヒューマンドラマでもあったからだ。

本作のストーリーは、上記2作品の込み入ったサイコスリラーとは異なり、シンプルなロードムービー仕立て。けれどその背後には、やはりリンチ的な魔性が宿っている。

タイトルの「ストレイト(Straight)」は、もちろん人物名ではあるものの、まっすぐに進む性格や1本道のロードムービーであることと、かかってもいるのだろう。

しかしそれは、意図的なアイロニーであり、表面的な"まっすぐさ"の裏には、曲がりくねった暗闇への道が隠されている。

主人公の70代の老人アルヴィン・ストレイトが、芝刈り機(小さなトラクター)に荷台をつけ、アイオワ州から500キロ以上離れたウィスコンシン州まで行く間に、以下の人々と出会う。

1)ヒッチハイカーの少女
2)自転車レースの若者たち
3)車で鹿に追突する女性
4)庭先を貸してくれた主人
5)その町の同年代の男性
6)教会の神父

1)のシーンで、闇の中に燃える炎の不吉さ。心あたたまる家族の話とは裏腹に、そうした絆は、一瞬で闇に飲み込まれてしまうことを物語っているようだ。『ツイン・ピークス』に出てくる「Fire, walk with me.(火よ、我とともに歩め)」を私は思い出す。炎に象徴されるのは、ぬくもり(絆)と闇(魔性)のはざま。リンチの描く炎は、本当に意味深い。

2)の若者たちと語り合うシーンでは、若き日に苦渋の体験があったことを暗示する。それは、好々爺(こうこうや)のようなアルヴィンの内的世界にも、『ロスト・ハイウェイ』や『マルホランド・ドライブ』があったということだ。

3)で鹿に追突する女性は、聖なるものを何度も殺めてしまうことの象徴。その肉を食べるアルヴィンの周囲に鹿が集まるのは、リンチ流のユーモア。鹿の角を荷台に飾るのも、聖なるものを殺めることで聖なるものに守られるという、原初的な感覚に満ちている。

4)芝刈り機が下り坂で故障した際、庭先を貸してくれた主人との交流では、アルヴィンの一徹な性格を細やかに描写する。彼が、そこまで「ストレイト(Straight)」であろうとするのは、世界が曲がりくねった闇から成り立っているからだろう。

5)そして同年代の男性と酒場で交わす会話によって、アルヴィンの過去が明かされる。2)で暗示された、忘れたくても忘れられない体験が語られる。

6)最後に教会の神父が出てくるのは、告解のため。兄のライルとの仲たがいを、カインとアベルに例えてアルヴィンは話す。このシーンでも、炎の描き方がやはり意味深い。

そのようにして、ラストシーンで兄のライルとついに出会う。

芝刈り機を目にした兄ライルが、一瞬ですべてを理解して涙を浮かべるのは、弟アルヴィンがそうまでして…という感動のためではない。

そうではなく、「ストレイト(Straight)」には歩むことのできないアイロニーを、弟の姿のなかに自身のこととして感じたためだろう。兄ライルもまた、『ロスト・ハイウェイ』や『マルホランド・ドライブ』を生きてきた。

そして、間違いなく観客である私たち自身も。

アルヴィンを演じたリチャード・ファーンズワースの、恐らく一世一代の演技。深淵をのぞき込んだようなあの瞳。きっとデヴィッド・リンチの演出を超えて、その存在は成立していたのだろうと思う。

けれど、意図を超えたその名演が、1周まわってリンチ的世界に接触しているように見えることこそ、リンチ作品の深みを表している。

冒頭に述べたレビュアーさんのもつ回路が、ご本人の素敵さ(や意図)を超えて、人のもつ深みへと接近しているように。

私にとっての『ストレイト・ストーリー』は、そうした作品。ヒューマンドラマとは、ほっこりするという言葉でまとめてしまう"いい話"のことではなく、「ストレイト」の名の裏にあるアイロニーを感じてこそのもの。

アルヴィンの瞳の奥に、闇がもつ深みや不吉さを感じられないなら、恐らく映画など観てはいない。
はげゆ

はげゆの感想・評価

3.7
おじいちゃんでロードムービーの好きの掛け算。
ƎOM

ƎOMの感想・評価

3.5
かわいいおじいちゃんのお話
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