このレビューはネタバレを含みます
終戦から14年。
古鷹山に登った石川は感慨深く呟く。
「ああ戦争とは何と虚しいものだろう」
帝国海軍の華と謳われた江田島海軍兵学校。
その第203分隊の生徒たちの起床から就寝まで。
授業風景や、体操や伝統の棒倒し、また古鷹山にかけ登るなどの訓練、そしてカッター練習に励む様子が描かれている。
厳しい訓練や教育で"江田島精神"を培い逞しく成長していくのだけど、階段の登り方、身支度の仕方、食事では左手を使わないこと、校庭は斜めに突っ切ってはいけない等、規則は本当に細かい。
たとえ理不尽であっても従わないと"教育"という建前の暴力を受ける。
卒業すると戦線へ赴任する。
小暮は沖縄へ送られていたようだが、映像では"回天"で出撃し、米国軍艦に体当たりして若い命を散らせていた。
卒業前に訓練生のまま儚く散る命もあった。
昭和20年3月13日。兵学校上空に飛来した米空軍グラマンの襲撃を受けた際、防空壕から飛び出して迎え撃った村瀬は、そのまま絶命。
「戦争が終わったら、今までのお詫びに、お母さんをうんと大事にしてあげる」
という村瀬の言葉も虚しく響く。
兵学校での葬式。母親と義妹の姿は涙を誘った。
他方、海軍特別隊飛行要員(特攻隊員)となった石川は、出撃したものの海面に突っ込んで機体は大破したが、奇跡的に生還した。
古鷹山でユミコと再会を果たし、二人は結ばれるのではないか...という余韻を残して終劇。
命を散らした仲間の分まで生きなければならない。
戦争シーンは、特撮と実際の映像が上手く繋がっていて臨場感があった。
原作:菊村到