うめ

チャイナ・シンドロームのうめのレビュー・感想・評価

チャイナ・シンドローム(1979年製作の映画)
4.0
本格派の女性リポーターを目指すものの、そのルックスと軽妙なトーク力からか思うようなニュースを扱わせてもらえないキンバリー。
そんな現状に不満を抱いているが、取材に行った原子力発電所で偶然に事故に会う。
事故の陰に蠢くもの。
しかし、組織に属するために縛られる行動。
ジャーナリストとして覚醒していく姿をジェーン・フォンダが熱演している。

そのキンバリーと共に取材に同行するフリーのカメラマンのリチャード。
彼が隠し撮りした事故の映像をきっかけに明るみに出てくる真実。
フリーであるが故に心のままに自由に行動する。
やや暴走気味とも思える彼を演じるマイケル・ダグラスの若々しさ!

ですが…
この映画の見どころはズバリ原子力発電所の現場責任者を演じるジャック・レモンです!
見事に収集したように思えた事故だったのだが…
些細な違和感から隠された真実に気づいてしまう。
今まで安全にやってきたという職人のプライドと背負ってきた責任が彼を悩ませる。
深刻さが理解できない経営陣との対立。
葛藤する彼が出した結論とは…
信念に生きる顔に凄まじいほどの迫力を感じた。

日本が向きあい続けていかなければならない原子力の恐怖。
原爆、そして福島…
現在、その恩恵に預かった生活をしているとはいえ…
原子力を扱った作品を見る度に思い知らされる、制御できないものを扱っているという事実。
観ていて何度も背筋が凍りました。

辞めようというのは簡単だけど…
それで、全てが元に戻る事はない。
原子力を使うということに対して、どうすれば本当の意味で責任をとれるのか?
人間にだけじゃない。
動物に、植物に、虫に。
そして、地球に。
今、見つめ直さなくてはならない。
遅かったとしても、何かを変えていかなければ。
これから、生まれてくる全ての生きるものの為にも…
うめ

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