教授

ゴジラの教授のレビュー・感想・評価

ゴジラ(1984年製作の映画)
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個人的に人生で初めて「劇場」で観た映画。ものすごく怖かったし、楽しかったという記憶がある。
怖かった、というのと楽しかったという相反する両方の感情が同時に体験できる、ということに当時の僕は衝撃を受けたのだろうし、なにがしか、それは今の僕の根っこにもなっているのだろうと思うと感慨深い。

というわけで、これまで子供向け路線から一転。第1作目の続編という位置づけになり、原点回帰的に(当時の)現代の東京を破壊しまくる。

作劇部分ではとにかく当時の「冷戦構造」が前面に押し出され、核を使いたがる米ソ。非核三原則のロジックでその米ソを抑える日本国首相、という現代の目で見れば「ファンタジー」な外交手腕を見せる小林桂樹の名演。
特に閣僚級の俳優たちは出番が少ないながらも個性を発揮して、僕の大好きな「東宝オールスター」の伝統を感じて最高。

ただ、メインキャストの田中健、沢口靖子、宅間伸の人間関係がなぁなぁ過ぎたり、そもそも避難が遅過ぎたり、設定も含めてリアリティが欠落しているし、夏木陽介演じる林田博士、というのも人物がよく見えてこない上に個人的には「なんか偉そう」でいけ好かないので、全体的にギクシャクしていたりする。

後付けで命名されたフナムシの怪物「ショッキラス」絡みのエピソードも当時怖かったけれど、物語全体と噛み合っているかどうかは微妙。
現れたゴジラが有楽町のマリオンと比べて小さく見えてしまう皮肉や、活躍したのかしなかったのかわからなかったスーパーXなど、モヤモヤは多い。

で、最終的に良くも悪くも強烈なインパクトを与えるのが武田鉄矢だったりするので、嫌いじゃないが、出来は「うーん」と頭を抱える部分が多い。
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