記録。
足元に広がる小さな世界。
かつてディズニーに唯一対抗できたってのも納得の、フライシャースタジオによる今から80年前のアニメーション。
こんな昔の作品の方が最近のアニメよりもヌルヌル、そして生き生きとしてるように感じるのはなんでなんだろう。職人技というのはまさにこういう作品の事を言うのだろう。
タイトルからも明らかなように本作の主人公たちは昆虫。街の片隅で人知れず暮らす彼らが安住の地を求める物語だ。
平和なようでいてどうやら虫の世界にもヴィランはいるようで、主人公のバッタとヒロインの蜂(可愛いんだな)の恋路が気に食わないカブトムシが一匹。この三角関係が事態をややこしいものに変えていく。
やたらとリアルな人間の動きはロトスコープによるものらしく、虫たちのオーバーでダイナミックなモーションとは明確に分離されてるのが面白い。我々の知らない世界である事が強調されてると同時に、そこで起きてる事が意外と俗っぽいのだから。
戦争の時代に突入したことで当時のスタジオは倒産したそうだが、もし現代も存続してアニメを制作していたならば…と考えると寂しい気持ちになりますね。