C3POB1

11ぴきのねこのC3POB1のレビュー・感想・評価

11ぴきのねこ(1980年製作の映画)
4.5
馬場のぼる原作絵本のアニメ化映画。
小さい頃から今に至るまで原作のファンで、本作は幼少期にテレビでやってたのを、録画したビデオテープで台詞を覚えるまで繰り返し鑑賞したものです。

ソフト化もされていないようで記憶頼り、と言っても台詞をそらで言えるまで観たわけで、素晴らしい作品と今でも断言できます。

エネルギーだけは有り余っている迷惑者集団の若猫11匹が、夢を追って巨大な魚を捕まえに行く過程を描きます。

笑いあり、友情あり、喧嘩あり、涙あり。
仲間と夢を追う楽しさ苦しさを詰め込んだ走馬灯のような青春映画。

挿入歌もいちいち素晴らしく、特にドラッグ(マタタビのことですが)に溺れてジャンキー生活に浸る下りの「水仙ラブユー(タイトル不明)」は名曲も名曲。クスリ漬けの恥ずべき自分の姿を、メロウなメロディとコミカルな歌詞に乗せて、「ダンボ」を彷彿とさせるサイケデリックな映像表現と共に珠玉のシーンに仕立てています。

「夢を食っては生きていけない」と忠告する老婆猫を後にして、夢の巨大魚の元にたどり着いた11匹が迎える、あぁー、となる結末も含め、長年愛される原作絵本を忠実になぞりつつ、その道程を最大限夢いっぱい膨らませてみせた傑作と言えましょう。

後で知ったことには、主人公トラネコ大将を演じるのは郷ひろみ。
登場人物全員掴み所の無いキャラクターまみれの馬場のぼる作品にあって、唯一の良識を世界に繋ぎ止める大役を見事に果たしています。

馬場のぼる絵本で言うと、「きつね森のやまおとこ」が最高に好きなんですけど、これもアニメ化してくれませんか。
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