ユーヤ

チェ 39歳 別れの手紙のユーヤのレビュー・感想・評価

チェ 39歳 別れの手紙(2008年製作の映画)
5.0
歴史の勉強として、この人に興味を持つべき。
英雄、そして良き人間として描かれている本作も、別な描き方をしている作品や報道等も、僕はこれから〝人の想いの結実〟として心に刻む事になるだろう。
正義か、悪か、正しかったか、間違えたか、利己的か、利他的か、資本主義か、共産主義か、の垣根を超えて、エルネスト・ゲバラは〝最強〟の平和主義者だったと思う。

映画としては、非常に抑制の効いた作り。ベニチオ・デルトロの演技が出色の出来であったのは勿論のこと、スティーブン・ソダーバーグの演出も見事。
過度な音楽的演出はせず、環境音を少し煽るだけで不穏な感じを伝えている。
また、ゲリラ戦という行為の入り乱れた戦闘の性質からか、基本的に「日なたに居る人が撃たれる」という分かりやすさを提示してくれている。
つまり、密林で木々の葉擦れの音が大きくなったら…ヤバイ!とか。
政府軍兵士が日陰にいて革命軍兵士が日なたに居て…ううう…!とか。
史実を映画にするという際の〝絶妙の塩梅〟が分かっている感じでした。
普通に淡々と描いたら映画として成立しない。演出し過ぎたら史実として成立しない。素材の味は活かし、しかし食欲は持続させる位に味は整えつつも、添加物は使用しない。そんな感じの素晴らしい料理です。
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