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ヤンヤン 夏の想い出のsonozyのレビュー・感想・評価

ヤンヤン 夏の想い出(2000年製作の映画)
4.0
2000年公開のエドワード・ヤン(楊徳昌)監督の遺作。173分と長めです。

祖母・両親・姉と台北のマンションで暮らす8歳の少年ヤンヤン。
ヤンヤンは女子にいじめられつつ、いたずらして先生から怒られたり、独特の雰囲気の少年。

叔父(母の弟)は出来ちゃった婚で、面倒な元カノとのあれこれと借金抱えがち。

上品な祖母は突然脳卒中で倒れ、意識の戻らない状態のまま病院から自宅に戻り、家族たちは反応のない母に語りかける。

その看病で自分が空っぽだと気付き、友人の勧めで山に籠もる母。

父(愛称はNJ)はパソコン関連の会社の経営陣だが会社は倒産の危機。

姉のティンティンは夢見る女子高生で、マンションの隣に住むリーリーと友達。

リーリーは彼氏(ファット)との関係がこじれたり、学校の先生とも寝ちゃう母がいたり。。

ヤンヤンはカメラで不思議な写真を撮ったり、恋心が芽生えたり。

父は30年ぶりにかつての恋人と再会したり、会社立て直しのために日本人のゲームプロデューサー"大田"(イッセー尾形)との交渉役となったり。

姉のティンティンは、友人リーリーの彼氏ファットと恋仲になりそうになったり・・・

という具合に、邦題では、ヤンヤンが主役のようですが、これは家族それぞれの物語です。
(ラストシーン含めヤンヤンが重要な役割ではありますが)

英題「a one and a two」について、ヤン監督は、「人生で起きるいくつかのことは、数字の1+2と同じくらいとても簡単である」と語っていたそうですが、同様の発言は、籠もった山から戻る母も語ります。
この映画、このような含蓄のある言葉がいくつか出てくるんです。ヤンヤンからも。

ヤン監督作品で見たのは『牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』『カップルズ』に次ぐ3作目ですが、いずれも人物描写・生活描写が素晴らしいですね。

※この作品、wikipediaによると、ヤン監督が台湾の配給システムに不信感があり版権関係の折り合いがつかなかったため、地元台湾では正式公開されていないそうです。
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