えびちゃん

ヤンヤン 夏の想い出のえびちゃんのレビュー・感想・評価

ヤンヤン 夏の想い出(2000年製作の映画)
4.0
もう新しく観るエドワード・ヤン監督作品が無くなってしまい、ぼんやり気味。牯嶺街少年殺人事件を知らなかったカラダに戻りたい。

初めから終わりまでこだわり抜かれた対比とその見事なモンタージュ、心の中まで映し出したような反射するガラス窓や鏡の使い方、まばたきも惜しい光と闇、夜景やブラインドから漏れ出る車のライトの点滅・キスする間に切り替わる信号の灯り、稲妻と共に恋に落ちた少年、とてもナチュラルな長回し。目線の合わない家族を見つめなくてはいけない気まずさもあるけど、こんなに美しくて洗練された画を観られるなんて。3時間と尺の長い作品だけど、この時間にずっと浸っていたかった。
人生はままならないなあ。ささいなひとつの選択で、あっちもこっちも上手くいかず信頼を無くし、むやみに傷付けられ、多くのものを失う。それでも自ら選んだ道ならばと自分の人生をまるごと愛おしむことができたらいいな。"人生をやり直すチャンスは必要ない"と言い切れるような生き方をしたいな。
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