怪談蛇女の作品情報・感想・評価

上映館(1館)

「怪談蛇女」に投稿された感想・評価

menoki

menokiの感想・評価

3.3
物語が分かり易く、幽霊のビジュアルと演出は良いが、幽霊の中身が残念な作品。

あらすじ

明治初期の北陸、小集落の小作人・弥肋は冷酷な大地主に虐げられて命を落とし、地主の下で働いていた妻のすえも蛇を助けようとした咎で絶命。
やがて地主一家は蛇の影を伴ったすえの亡霊に悩まされるようになる。


悪事を働いた悪党の地主に虐められた命を落とした小作人が亡霊になって化けて出てくるといったような分かり易い内容であり、また物語の運び方や構成が上手く中身が濃い為、物語に非常に入り込み易くなっている。
演技に関しても非常に上手い役者が多く、パッと見ただけで虐げられている役や悪役などの役柄が分かるよう雰囲気までキャラクターをしっかり演じきっている。

また、キャラクターに関しても魅力的なキャラクターが多く、どのキャラクターも物語に必要不可欠な存在であった。
最近のJホラーは主要キャラクター以外はキャラクター作りが結構適当に設定されている事が多く、鑑賞後は全く心に残らない事の方が多く思える。
しかし、本作の場合は主要キャラクター以外もキャラクターがしっかりと作り込まれており、鑑賞後もしっかりと心に刻み込まれているものとなっている。

幽霊のビジュアルに関してもかなり良く、物語の雰囲気や幽霊のビジュアルにマッチしたライティングと美術と音楽に依り、視聴者により一層幽霊を不気味に恐ろしく感じされるようになっている。
また、お約束のタイミングとは違ったタイミングで幽霊が出現するのが多いので、ある程度ホラーに慣れている人の方が驚くかもしれない。

あと、女性差別についても深く考えさせられるようにもなっている。
結婚の約束をしている女性がレイプされたら、今なら加害者のみを怒ると思うんだけど、劇中では被害者女性に対して、

男「何故もっと抵抗しなかった!!」

と怒っていたが、これが明治初期の常識だったのだろうか・・・。
本作を鑑賞して、福田事務次官のセクハラ事件が頭をよぎったが、被害者女性が悪いだとか言っている人もいたっけ・・・。
切り取りだから会話の内容を全て晒せとか名乗り出ろとか言う人もいるけど、その人達はセクハラを受けた女性の事を少しでも考えた事があるのかな・・・。
そういう人って、例えば上司のパワハラを苦にして自殺した部下がいたとして、マスコミが部下のプライバシーに配慮し、上司が部下にしたパワハラ音声を編集した状態で公開しても、切り取りだから信用出来ないとか全部晒せとか言うのだろうか・・・。
山口達也に関しても擁護的な意見をしている女性がいるみたいだけど、こんなんだから日本は男女平等ランキングで114位とG7(主要先進国)ではぶっちぎりの最下位なんだろうなぁ~。

話がそれてしまったが、とにかく全体的にホラー好きには楽しめるようになっており、最近のJホラーに飽きた人には観てもらいたい作品ではあるが(どちらかと言うとこの時代のホラー映画)、少々不満に思える部分もある。

まず、タイトルが「怪談 蛇女」となっているが、虐められた女性が蛇女となって化けて出てくる必然性が全くと言っていい程感じられなかった。
確かに蛇が関係して死んだキャラクターはおり、そのキャラクターが蛇女となって化けて出てくるのなら納得できるのだが、蛇女となって化けて出てくるのは蛇とは何の関連性のないその娘である。
何故娘が蛇女として化けて出てくるのか良く分からないし、無理矢理蛇に絡めているようにしか思えなかった。
ベタかもしれないが、どうせなら酷い虐めやレイプされた絶望の最中、密かに飼っていた蛇を地主に依って殺され、その後全てに絶望し自殺するという展開の方がまだ納得出来ると思うのだが・・・。

あと、序盤で死んだ親父が化けて出てき過ぎのようにも思えた。
本当に序盤から様々なタイミングで出現しており、明らかに蛇女以上に登場回数や時間が多い。
また、タイトルにもなっている蛇女が締めを持ってくのが普通だと思うのだが、実際蛇女は地主の息子に復讐(?)後は全然姿を見せず、親父が締めを持っていく形になっている。
流石に締めは蛇女が持って行った方が良かったと思うのだが・・・。

また、生前に受けた仕打ちに対して復讐が甘すぎるように思える。
生前は地主からの罵詈雑言は当たり前で、今では考えられないような重労働をさせられ、土を食べさせられたり、レイプさせられたりと悲惨な目に合っているにも関わらず、化けて出てきても恨み節を一切言わず生前に発した言葉を繰り返すだけである。
しかも、その言葉が、

親父霊「土かじってでも借金お返しします。」



娘「若旦那、堪忍して下さい。」

など、下手に出たお願い事なので、とてもじゃないが恨みを晴らそうとしている様には思えなかった。
幽霊のビジュアルや演出はいいのに中身がかなり残念な幽霊である。
「アイ・スピット・オン・ユア・グレイヴ」程とは言わないが、もう少し悪党にキツイ復讐をして欲しかった。
神保町を歩いていたらたまたまポスターを見かけ、ふらりと入館。両親の生まれ年に公開された、古い映画。当時の興行実績は知らないが、全く面白くはなかった。ホラーではなく、単なる幻想系サスペンス。で、僕はサスペンスにそんなに惹かれない性質だということだった。
地主の過酷な仕打ちに対する小作人一家の復讐劇。最近のホラーは怖そうで見られないので昔の怪奇映画はありがたい。
小作人一家の受難の場面はつらいけど、復讐が始まってからは、どうやって怖がらしてくれるんだろうとワクワク。怪談映画が得意な監督だけに、地主の河津清三郎や山城新伍が錯乱していく場面はダークな雰囲気があり、映像もかっこよくて、さすが!と感じた。
ただし、セカンドレイプ発言した村井国夫が天国に行くのにはモヤモヤ。

「こわいはおもしろい」@神保町シアター
一

一の感想・評価

-
白塗りの西村晃相変わらずゴスで素敵。クライマックスの河津清三郎が座敷を駆け回るワンカットがかっこいい。
鴉

鴉の感想・評価

-
肝心の蛇がそんなに怖くないっていう。蛇女より西村晃を優先した判断は正しい。
蛇女はあまり出てこない。

ディスカスにある中川監督作品も残り少なくなってきました。
もう、こうなったらディスカスにある監督作品は全部制覇しちゃうぞ。ということで「怪談蛇女」。

地主に酷い仕打ちを受け、亡くなった父。
父の借金を返すため母と娘は地主の元でただ働きさせられる。
地主、変態ゲス野郎の若旦那、鬼ババアにより虐げられ、やがて命を落とし・・・。

あまり、恐怖感がありませんでした。
監督の持ち味のドロドロ感がなくなってたのが少し残念でしたが、父、母、娘の幽霊家族っていうのはめずらしいような気がします。

タイトルの蛇女が、あまり生かされてなかったような気がしました。
蛇は関係なく、普通の怪談ものにしてた方が良かったような気が。

それでも、見えないものが現れたり、浮かび上がったり、聞こえたり、ヒュードロドロしたりの恐怖演出は他の作品と変わらず面白かったです。

ただ、もっとめちゃくちゃやってほしかったのが本音。
酷いことをされたんだから、10倍返しくらいしてほしかった。
やられたらやり返すです。
特にこの映画で一番ムカツク、ゲス野郎の若旦那は、メッタメタ、グッチャグチャ、バッラバラ、ドックドク、グッログロ、とザマーミローって言いたかったけどアッサリだったんで出来ませんでした。

逆に地主への復讐。終盤の展開は凄く良かったです。
目まぐるしいカメラワーク、現実だったり墓場だったり、水責めだったりと次から次へと切り替わる場面展開はサスガ。
ここだけでも、観たかいはありました。
これ、これーって。

因果応報。悪いことをすれば必ず報いを受ける。
怪談映画は教訓みたいな映画ですね。

ヒュードロドロ。

レンタル
horahuki

horahukiの感想・評価

3.6
地主に家を取られたり酷い仕打ちを受けた小作人の一家が、幽霊となり地主たちに復讐する邦画ホラー。

大好きな中川信夫監督の怪談なのですが、私的にはそこまでハマりませんでした…。

民衆を虐げる県内きっての大地主に対して、何も出来ない現実を脱し、死後の世界からのカウンターをかますという、怪談ものの常套手段を取り入れた作品なのですが、前半の虐げられてる描写が腑に落ちず、肝心のカウンターが私的にはさほどスカッとしなかったんですよね。

事の始まりは主人公一家の父親が地主に対して負っている多額の借金。それがすでに返済できない状況に陥っているところから物語が始まります。それで地主に家を取り上げられ、妻と娘は地主のところで無給(給料は全部借金の返済にあてられる)で10年働かされることになる。

担保権があったのかは知りませんが、多額の借金のために自宅を取り上げられるのは、可哀想だけどやむを得ないところがあるし、地主側もその後住み込みでの働き口を与えてるわけだから最低限の生活には責任をもっている。地主のところは一日16時間労働という、完璧にブラック企業なわけですが、他にも多数働いてる人もいて主人公のみが酷い仕打ちを受けてるわけではないし、割と同僚たちが優しくて心配してくれてるのでそこまでの悲愴感がない。その上、働き始めて数日で主人公一家は横領事件を起こしちゃうから擁護できない…。普通だったら警察に突き出されるところだけど、土を口の中に一回だけ入れられて、勤務場所が変更になるだけで許してもらえるという甘々上司。

その中でレイプと病院に連れていかないことだけはクソ中のクソだと思うけど、それまでがあまり非道な扱いとも思えず、むしろかなり問題のある一家なように思えて、あくまで復讐譚としてはそこまで肩入れできない。

ただ、本作の幽霊は地主側親子の心の中にほんの少しだけ残ってる善の心が見せた幻だと捉えると全て合点が行く。本作の幽霊は、生前の死が迫った時の姿で現れ、地主に謝る行動を繰り返す。これは復讐として考えるよりも、地主側が自分の責任で他者を死に追いやってしまったことを心の奥では責任を感じているところがあって、その心が見せてる幻なのではないか。そうすると地主側への謝罪を繰り返す幽霊というのも腑に落ちる。地主側の自責の念が見せているので、死の間際に地主に対してした行動が幽霊の行動に反映されてるように思えるんですよね。そしてそれは蛇に結びつく。

そしてそう考えると、前半、主人公一家側の悲惨さに重きを置かなかった演出も納得がいく。本作の主人公は実は地主側であり、自責の念により破滅する姿を描いたサイコホラーだとも取れる。そしてそれは強者に理不尽に虐げられる弱者の願いでもあるし、怪談の本質でもある。そう考えると本作は傑作といっても良い作品だと思います。

クライマックスの怒涛の恐怖演出ラッシュはさすがの中川監督だし、ラストシーンの旅立ちも素晴らしい。冒頭から復讐譚として見ていたせいで今回はあまりハマりませんでしたが、最鑑賞したらほぼ間違いなくハマると思います。やっぱり中川監督は凄い!

あとどうでも良いけど、妖怪ウォッチ版ポケモンGO、妖怪ウォッチワールドがついに配信されましたね!サプライズにビビりましたが、早速ダウンロードしてやってます(*^^*)
324

324の感想・評価

4.3
本当に恐ろしいのは人間だというところに根ざしているのが良い。これぞ怪談。ゴリゴリど直球で堪らない。光が映えて良いな。中川信夫監督は確実に日本代表の1人だと思う。
yasumax

yasumaxの感想・評価

3.0
この時代の怪談もの特有の効果音ってお化け屋敷感半端ないw
終盤、仏壇のカット斬新。
土カジって…若旦那堪忍…少し滑稽なほどだけど耳に残る…
ドント

ドントの感想・評価

3.8
68年。なんじゃこれはめっちゃおもろいな……。地主一家にいびり殺された小作人親子がオバケと蛇となって復讐するよくある怪談話があら不思議、なぜこんなに面白くなるのか。
極端なくらいの俯瞰図や奥行きによってこぢんまりした怖い話に異様な三次元世界が生まれる。と思ったら鯨幕や戸で閉め切ってみたりもする。かと思うとだだっ広い海沿いの道でヒロインが襲われたりする。空間の押し引きの幅が大きくて、怪談映画なのにむやみにダイナミック。死んで即出てくる速度、襖開けたらすぐいるスピード感(心の準備も何もできない!)もすごいのだ。そしてクライマックス、予想もつかぬ方法での怒濤の波状攻撃。前フリこそつらくて苦しくて悲しいばかりだがそれを返してお釣りが来るこのカタルシスったらない。
伴淳と丹波の役柄はよく考えたら要らないのだがそれもまた一興(?)。ヘロヘロの小作人にしか見えない西村晃の存在感(&土下座)が素晴らしい。様式美を残しつつ破格さも抱えた逸品。
>|