高橋早苗

ハーブ&ドロシー アートの森の小さな巨人の高橋早苗のレビュー・感想・評価

4.3
N.Y.マンハッタン
郵便局に勤めるハーブ
図書館の司書ドロシー

結婚して30年
小さなアパートは
彼と彼女の目に留まった
ミニマム・コンセプチュアルアートでいっぱいになった


アートは観に出掛けていくもので
手元に置いておくものじゃない。私にとっては。
ってことは、ある程度評価されたもの
・・・コレクターなり画廊なりメディアなりの目を通したものにしか
お目にかかれないということになる。


確かに
己の眼しか信じないというその審美眼で
誰よりも先に見出だす喜びがあるんだろうね。


だけどね・・・
コレクション癖というものを持ち合わせていない私には
この二人の情熱は正直理解できない。

そのくせ
二人を観てて楽しくて仕方ないのは
やたらハッピーに見えるからで

いいなぁ~
とむやみに羨ましがってしまう。



出会った頃は
コレクターよりも
アーティストだったという二人

寸暇を惜しんで
N.Y中のギャラリーへ出掛けていく姿は
まさしく
“アートの森を散歩”しているようだ。


気になる作品に出逢うと
アーティストと友人になる
コレクションは一点限りではなく
時系列・作家・作風の変遷までわかるような目線を帯びていく。


有名になった二人のもとへ
寄贈の依頼が舞い込む。

N.Y.ナショナルギャラリーが
調査の為 運び出した二人のコレクションは
その量 引越用トラック5台分!
・・・ってアメリカンサイズですからね
トレーラー5台ですよ(笑)
(何故か「激突!」が頭に浮かび・笑)


エンドロールの後まで
終始ニヤけっぱなしで観られる映画も珍しいだろう。

唯一、クリスト&ジャンヌ・クロードが出てきて
そこだけ泣きそうになった。

セントラルパークの「The Gate」
あの場所に
二人もいたんだと思ったら
うるうる来て。

「わかるかしら
 すべてが現実だから
 美しいのよ」
・・・はためいちゃうよサフラン色。


二人が集めたすべて
N.Yアートシーンの30年は
1000点余りが
ナショナルギャラリーへ

そして50点ずつ
アメリカ各50都市へ。


よく
○○コレクション展
とかお目当ての企画展のついでに覗いてみたりするけれど
正直楽しめた記憶がないんだけどね。

自分たちのお給料で
買える値段であること

1LDKのアパートに
収まるサイズであること

こんなわかりやすい“幸せコレクション”なら
楽しめそう!
高橋早苗

高橋早苗