アラシサン弐

オール・アバウト・マイ・マザーのアラシサン弐のレビュー・感想・評価

3.8
この映画初見で100%楽しめる人は相当なセンスだと思う。
息子を亡くした母親の喪失と再生の話かと思いきや、監督特有のクセが凄い登場人物達がそう簡単に事を進ませてくれなかった。

彼女達は、病気、薬物中毒、売春、さらにはジェンダー問題など、それぞれ一つ切り取っても映画が一作撮れそうなくらい濃厚なものを抱えているけど、それらをあくまで「人生の転機」の一つとして描いているように感じた。

母になったり母でなくなったり、女になったり女優になったり、展開があまりにも荒唐無稽なのだけど、そこからは人生の選択肢を提示してくれてるかのような良心が垣間見える。

テーマとして「女性讃歌」が名目とされているけど、それは演出や展開で「女性はこんなに強い!」みたいな圧力で押してくる感じではなくて、キツい問題や悩みを抱えていても、互いに励まし合って助け合うことで、日々を笑い飛ばして生きていく姿を通して強さを見せてくれる。

昼間にアパートでゲラゲラ笑いながら猥談するシーンはとても印象的で、まさに「女性讃歌」を象徴していると想った。
アラシサン弐

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