Azuという名のブシェミ夫人

オール・アバウト・マイ・マザーのAzuという名のブシェミ夫人のレビュー・感想・評価

4.0
“女”のもっとも本能的な部分。
それを丁寧に裏ごしして作り上げられたような、至極濃密な作品。
自分が肉体的、精神的に女である事を考える。
自分の中で当たり前になってしまっていたことで、それをこんなに意識することはなかなか無い。

印象に残る鮮やかな赤。
抗ったり、追い求めたり、どうにも自分から切り離す事など出来ない血の色だ。
存在を知らなくても、愛をもらえなくても、忘れ去られたとしても、父親と母親から子、そしてまたその子供へ受け継がれていく。
主人公の息子が母親について、そして父親について知りたかったのは、自分が何者であるのかアイデンティティを確認する為に必要だったからでしょう。
育った環境、体験が自らを創り上げていくのは確かだけれど、血は間違いなく自分の一部。
“半分”の君がそれを知ることが出来なかったことを、ただただとても残念に思うよ。

母であり、“女”である。
父であり、“女”である。
男であり、“女”である。
たくさんの“女”たちが登場する。
誰もが静かではあるが熱い情熱を持ち、危なっかしく、強く、そして脆い。
壮絶で、どの人にも共感なんてとても出来ないのだけれど、それでも何故か心にストンと受け入れる事ができるのは、アルモドバルのマジックでしょうか。
私が女だからでしょうか。

おっぱいはあるけど、下半身は男性のままのアグラード。
きっと彼女が一番客観的にも、そして主観的にも“女”を理解している人。
とても素直でキュートで素敵でした。
オカマさん役だけど、女優さんだったのね!
素晴らしい!