リッキー

オール・アバウト・マイ・マザーのリッキーのレビュー・感想・評価

2.9
972本目。190307
本作品では最愛の息子の死、 LGBT、臓器提供、エイズ、親子愛、麻薬、介護など世間で問題とされている多くのテーマを1作品に取り込んでいます。

主人公のマヌエラはシングルマザーで息子を育てています。彼女は彼の誕生日に2人で舞台を鑑賞しますが、その直後に不慮の交通事故で最愛の息子を失ってしまいます。その後、
息子の臓器は移植されましたが、臓器移植コーディネーターであったマヌエラは実際に移植された人物を突き止め、自分の目で確認しに行きます。

このように冒頭から重い話のため、この臓器移植の物語が展開されるのかと思いきや、あっさりとこの話は終結してしまい、彼女は職を辞めて大昔に別れた元恋人のロラに会いに行きます。ロラはバイセクシャルで亡き息子の実の父にあたります。しかも彼は自分の子どもがいたことを知りません。

彼に会いに行くことで、彼女には様々な人との出会いがありました。
旧友でトランスジェンダーのアグラード、彼の知り合いで教会のシスター·ロサ(ペネロペ·クルス)、息子と最後に観た舞台女優のウマとレズビアンの恋人であるニナ、ロサの母など多数の女性と知り合い、その後この女性たちと密に付き合うこととなります。

一番強烈なエピソードはロサが未婚で妊娠して、なんとその父はマヌエラの元恋人、バイセクシャルのロラです。さらにロラは、エイズに感染しています。
シスターとして神に仕えているはずの人物のまさかの妊娠に、頭の中がカオス状態となります。そしてロサもエイズに感染してしまい、出産して間もなく帰らぬ人となりました。

まだ作品の途中でしたが、 このエピソードあたりから私のキャパを超える展開が多くなりすぎて、誰に感情移入すべきかわからなくなってしまいました。
本作品では世間で言われる「一般的な」男性が存在しておりません。主人公は女性で母親であるため、女性が観ると違和感はないのでしょうか。私はかなり抵抗がありました。
収穫だったのは若き日の素朴なペネロペ·クルスを鑑賞できたことですかね。

本作品は1999年TIME誌の年間映画第1位になり「この映画を観て何とも感じない人は、心臓専門医に診てもらうことをお薦めする」というキャッチコピーがありました。
どうしましょう。すぐに専門医に行かねば…。
リッキー

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