ルロイ監督の「仮面の米国」(1932)の同年前作。同級生の女性3人の小学生時代~成人後までの13年間を追う人間ドラマ。主演は「スカー・フェイス」(1932)の助演女優アン・ドヴォラック。原題「Three on a Match(1本のマッチで3人のタバコを)」。無名時代のハンフリー・ボガードが初めてのギャング役で出演。
禁酒法が施行された1919年。ニューヨークの小学校に通うメアリー、ルース、ヴィヴィアンの3人は卒業式を迎えた。10年後、それぞれの道を歩んでいた3人が美容室で偶然に再会する。メアリー(ジョーン・ブロンデル)は感化院を出てショーガールに、ルース(ジョーン・ベネット)は速記者に、そしてヴィヴィアン(アン・ドヴォラック)は弁護士と結婚し幼い息子と裕福な生活を送っていた。三人は同じマッチでタバコに火をつけ“最後にタバコに火をつけた者が最初に死ぬ”という迷信を笑い合う。最後に火をつけたのはヴィヴィアンだった。。。
破滅への道を転がり落ちるギャング映画のフォーマットを女性に置換した試みが面白い。最初に描かれる少女時代の姿が、その後の運命の残酷さを引き立てている。主人公ヴィヴィアンが道を外れて離婚した後、その後妻として友人メアリーが収まるという仁義無き人間関係は、男性ドラマであれば憎悪が生じるパターン。それが本作では主人公の自罰へと向かうのが女性ドラマならではのオリジナリティと言える。
主演アン・ドヴォラックは最後の飛び降りまで熱演。ベティ・デイヴィスとハンフリー・ボガードは共にデビュー2年目の下積み時代で目立たない役どころ。二人の共演は本作が唯一となった。また、デイヴィスとルロイ監督は本作で確執が生まれ以降組むことはなかった。