Omizu

不沈のモリー・ブラウンのOmizuのレビュー・感想・評価

不沈のモリー・ブラウン(1963年製作の映画)
4.6
【第37回アカデミー賞 主演女優賞他全6部門ノミネート】
TSUTAYA発掘良品で入荷していたので借りてみた。期待以上にとても楽しかった。好きだなこの作品。

監督は『イースター・パレード』『サマー・ストック』などのミュージカル映画の名手チャールズ・ウォルターズ。『雨に唄えば』で一躍スターとなったデビー・レイノルズがタイタニック号の生存者としても知られる実在の人物、モリー・ブラウンを演じた。

確かにモリーはなぜかジムに気に入られ、たまたまお金持ちになるだけで何の努力もしていない。薄っぺらいキャラクターになってもおかしくなかった。でもデビー・レイノルズの役のハマりっぷりによって見事に命を与えられている。

粗野で教養もないけど人懐っこくて芯がある。そんな彼女を誰もが愛さずにはいられない。夫との愛情と裕福への執着が見事に帰結するラストは泣いてしまった。

演出としても無駄を省きミュージカルのツボが押さえられているし、指輪やベッドなど道具の使い方も実にスマートだった。歌よし踊りよし美術よし、素敵なミュージカル作品だった。

実際のモリー・ブラウンは『タイタニック』でも描かれた通り金持ちを鼻にかけず船を戻して命を救った人物であり、ジムとは別居しながらも生涯離婚はせず、慈善事業に精を出す慈善家だったという。その後の彼女にしっかり繋がる余韻がちゃんとあるのも見事だと思う。
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