銀幕短評 (#214)
「トリスタンとイゾルデ」
2006年、アメリカ。 2時間 6分。
総合評価 68点。
「トリスタンとイゾルデ」はリヒャルト・ワーグナー(独)の有名な楽劇です。観たことはないけれど、4時間あまりの大作。しかし、その基のはなしは ケルト(アイルランド)の説話であったものが、900年ほど前にまとめられたらしく、さらに筋のバリエーションがいろいろとあるようです。
というのはさておき、ワーグナー版とは異なる この映画の脚本は とてもよくできている。悲恋、というコトバが指す恋愛パターンはいろいろと広そうだが、観ていて とても切なくなる。
思うに、倫理的な枷(かせ)と動物的な愛の欲望とが、相容れなく拮抗するときに、その悲恋度は頂点に向かう。だれも悪くない、互いに深く愛している、しかし抜き差しならない障害がある、踏み越えるべきか忍ぶべきか、長らうべきか思い切るべきか、互いにどんどん分からなくなり 身もだえする。
人生で悲恋を知らなくてよかったな、とつくづく思います。