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なまいきシャルロットのemilyのレビュー・感想・評価

なまいきシャルロット(1985年製作の映画)
3.8
13歳思春期真っ只中のシャルロット、家では父や兄に八つ当たりし、お手伝いで亡くなった母親代わりになったレオーヌにも何かにつけてイライラあたっていた。そんなある日音楽室から聞こえる美しいピアノの音色に魅了される。それは今話題の若干13歳の天才ピアニストクララであった。嫉妬と憧れが交差し、なんとかクララに近づいて、同じ世界の住人になってる気分を味わう。

シャルロットを演じるシャルロット・ゲンズブールのあどけない美しさと、すーっと伸びたまっすぐの長い脚、日に焼けたそばかすのお肌と黒い髪が、金髪で小柄なクララと対照的に配置されており、自分にないものに対する感情の表現が演技にしっかり反映されている。

思春期独特の、大きな世界を見てみたい、自分ではないものへの憧れとクララの存在が合致し、なんとか彼女の住む世界に滑り込もうと、なんとか近づく。そうしてクララと知り合うことに成功するのだ。パーティにもクララの赤いドレスを着て参加し、クララの笑顔や、たった一言で有頂天になり、父や近所の年下の友達ララにも優しくできたりする。死を軽く見てる世代であり、すぐに自殺をほのめかすあたりもリアリティがある。

性への興味もあり、年上の椅子の工場で働く青年とデートを重ねる。もともとはクララに近づくという目的のために彼に近づいたのだが、年齢をごまかして、大人ぶったしぐさを見せるシャルロットも愛おしい可愛さがある。

寄り添う音楽が劇中で何度もかかるので、すごく頭に残る。ツインボーカルのフレンチポップがキラキラした青春時代に寄り添い、一コマ一コマが音楽により生きてくる。彼女のボーダー×デニムのシンプルマリンコーデもスタイルの良いシャルロットの長身が生かされており、ファッションアイコンとしても彼女を観るだけで大満足できる作品になっている。自分が自分でしかないことを認めたとき、彼女はほんの少し成長する。その成長を一つのシーンでポップに見せるラストもエスプリが効いており、ほほえましい気分だけを残してくれる。
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