アニマル泉

台風クラブのアニマル泉のレビュー・感想・評価

台風クラブ(1985年製作の映画)
4.5
没後20年レトロスペクティブにて、相米慎二の円熟期の代表作である。相米は毎回トップカットが気合いが入っている。本作は夜のプールを泳ぐ少年、実音のみでタイトル。少女達は学校で遊ぶ。深夜のプール、台風の学校。台風、プール、水溜り、本作は「水」であふれている。少女達の無軌道。本作の「暗さ」は何だろう?相米作品は死と諦念が充満している。死んでいくのは男たちで生き残るのは少女だ。
相米慎二の特徴は「長回し」と「引き」だ。芹明香いわく「長回しはクマさん(神代辰巳)の影響」らしい。「引き」の画面は何だろう?役者というよりは風景を撮っている。役者は走るか踊るか大きな芝居をしなければ目がいかない、あるいは大雨などの大きな仕掛けが必要になる。私の推論だが、相米慎二が少年時代を過ごした北海道釧路の広大な風景が影響していると思う。画面を思い切り引くロンググショット、俯瞰の引き画面、の秘密は北海道ではないだろうか?
音楽は三枝成章、劇伴奏はストイックだ、バービーボーイズ2曲とわらべの「もしも明日」が実音として使われる。
同世代の相米慎二と森田芳光は夭折した。長谷川和彦は沈黙したままだ。彼等の不在がもたらした日本映画の喪失は大きい。
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