メランクさん

台風クラブのメランクさんのレビュー・感想・評価

台風クラブ(1985年製作の映画)
5.0
これは大学のころとかに見てたらめっちゃ刺さったかも。
三上みたいに頭でっかちだったし、
あのマジメさや柔軟性のなさにシンパシーを感じるし、
勝手に絶望して早まるのも憧れがあった。

各家庭の事情は詳しくは描かれないけれど、
少なくともエリやケンの家庭には問題があり、
三上は父親の精神論に失望してる。
ケンの「ただいま、おかえり」の反復や、
エリの母の布団での抱擁を求めるような仕草など、
姿の見えない親たちとの断絶は、
子どもたちだけで校舎に閉じ込められるというユートピア現出の必要要素であり、
三浦友和はその中間にいてチャンスがありながらも、
自ら「おまえも15年経てばこうなる」と言い放ち、
自分が完全に大人側の人間だと認めてしまう。

恋愛感情も親への怒りも、
ここにいたくない、従属したくない、
自分で未来を切り拓きたいけれど
どうしていいかわからないという思いが、
過剰な暴力と性的な解放と踊りとなって
巨大な力に包まれていくのだけど、
観ている我々は知ってしまっている。
台風は過ぎ去り、朝は来るのだと。

あーたしかにこうだったという懐かしさと、
とんでもない映画だなというドキドキが忘れ難い一本。