ばーとん

台風クラブのばーとんのレビュー・感想・評価

台風クラブ(1985年製作の映画)
5.0
青春映画の傑作中の傑作。思春期の性衝動に翻弄される少年少女がそれぞれの悩みや葛藤を抱えつつ台風の夜を過ごす。

工藤夕貴演じる理恵は衝動的に家出をして、東京で大人になる。電車から降り立つ時に見せる晴れやかな表情が印象的。仲間内で最も子供っぽく見えたクラスメイトのアキラに「背のびたんじゃない?」なんて、彼の成長を示唆することを言う。

学校に「閉じ込められていた」子供達は刹那的な衝動や暴力や破滅へ向かったが、そのような深刻さから最も遠くにいるように見えたアキラと、東京という外界に触れた理恵。「クラブ」の部外者だったこの二人にだけ成長が示されるという辛辣だが爽やかなラスト。

脚本もカメラも演出も115分間ほとんど完璧で文句のつけようがない。当時リアルに中学生だった子供たちが本当に愛おしくなる素敵な映画。
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