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台風クラブのgogotakechangのレビュー・感想・評価

台風クラブ(1985年製作の映画)
4.5
いつの世も台風は発生と同時に不穏な雰囲気で人々を包み込む。接近するにつれて人々の心のざわめきは増大し、到来した暴風雨がヤケクソであればあるほど、台風一過の清々しい暑さは極上のものがある。
ただそれは、過ぎてみないとわからない。

何も起きない田舎町。
誰だって大なり小なり覚えのある、思春期特有のやり場のないフラストレーション。はち切れんばかりのそれを抱える少年・少女たちは、ピークに達すると自ずと暴発する機会を探るようになる。だから台風の到来で彼や彼女らが学校内に閉じ込められたのは、この上ないほどに絶好のチャンスだったのだろう。皆この日を待ちわびたように一斉に体全体で弾けていく。

大人との決別は同時に自らの内に潜む子供との決別。それは蛹から羽化する蝶のように、一生に一度の大きな変化の瞬間。

すべてが吹き飛ばされたあと「少し大きくなった?」というセリフがあまりにも絶妙である。

台風クラブとは、誰しも思春期に必ず所属する、通過儀礼のように一過性の放課後クラブのことなのだろう。
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