回想シーンでご飯3杯いける

奇跡のシンフォニーの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

奇跡のシンフォニー(2007年製作の映画)
3.2
ロック・ヴォーカリストとチェロ奏者の間に生まれたものの、大人の事情で孤児院に入れられた少年エヴァンが、音楽に導かれて孤児院を脱走し、その才能を開花させる物語。

父親がロック、母親がクラシックという事で、その両方の才能を受け継いだエヴァンが、様々な人と出会いながら才能を開花させていく展開は、見ていて気持ちが良い。扱っている音楽のジャンルが幅広いので、多くの人に親しまれる作品だと思う。特筆すべきは、彼が街中の雑踏や自然の中にある音を身体で感じながら音楽に変換していく様子を、巧みな編集で映像化している所。なかなか実験的な演出になっている。

ただ、音楽好きとしては、作曲の才能と、楽器演奏の才能を混同している点は頂けなかった。後者については、どんな天才でも一度や二度の挫折を味わうはず。そこを描いた方が、物語としても豊かになったのではないだろうか。