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黒薔薇の館のキーのレビュー・感想・評価

黒薔薇の館(1969年製作の映画)
3.8
前年の『黒蜥蜴』に続いて作られた、丸山明宏主演・深作欣二監督映画。1969年作品。

『黒蜥蜴』は、その後も映画化・ドラマ化されるような、丸山明宏という看板無しでも楽しめる犯罪映画ですが、この『黒薔薇の館』は、丸山明宏という看板無しでは成り立たない、つまりは丸山明宏の美しさを堪能するための映画作品。

当時、芸名・丸山明宏だった三十代半ばの美輪明宏様がとにかく美しく麗しく妖しく、観ていてうっとりとします。
丸山明宏演じる竜子は、男を破滅させる美女として描かれていて、序盤は、竜子を愛したために破滅した男達が次々と登場。
中盤からは、竜子が出没するサロン「黒薔薇の館」を経営する資産家の中年男と、その愛人となった竜子を愛してしまった資産家の息子の、それぞれの破滅を描いていきます。
だいぶ年下の女に熱をあげる中年男と、愛に絶望した過去がありながら少し年上の父親の女に恋心を抱いてしまう若者、という二人の男の姿は、時に滑稽で、時に哀れですが、男の自分からすると、観ていて非常に切なくなります。

後半のメロドラマ部分だけならば、丸山明宏無しでも通用する切ない物語ですが、そうなると、ただの平凡な作品になってしまったでしょうね。
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