水無月右京

クレイマー、クレイマーの水無月右京のレビュー・感想・評価

クレイマー、クレイマー(1979年製作の映画)
4.5
ワーカホリック(仕事中毒)な父親、専業主婦で自分の存在を認めて貰えていないと常々感じており何か打ち込める仕事をしたいと考える妻、息子の3人が、三者三様で家族の関係・離婚・親権問題に向き合う社会派ドラマ映画です。

自身の仕事の成功こそが家族を幸せに導くと考えている父親も理解できますし、妻の不満も(表層的な理解かもしれませんが)そうなんだろうなと思います。妻が家出をした際息子が受けたショックの大きさもまた、大変だったろうなと思います。

結局のところ、いったいどうすればこのような悲しい出来事を避けることができるのか、ということについて考えたのですが、1つは本作でも1要素として取り上げられていた"話し合うこと"だと思います。

妻が、家事と育児だけでなく何か打ち込める仕事をしたいと相談した際、自分の収入増で生活に不自由がないのに一体何が不満なのかと言って取り合わないシーンがあるのですが、一事が万事でつもりつもった鬱積が家出⇒離婚への引き金となった、と本作では描かれています。俺も気をつけないといけないな(すぐに結論出したがる=話を親身に聞いていないと受け取られかねない?ので)と思いました。

もう一つは、子供が生まれている以上、家族であることを辞めることの影響の大きさを今一度認識しなおすことですね。ありきたりで平凡なコメントしかできませんが、悲しい出来事にしないためにも、話し合いを通じて問題解決を図っていく。これに尽きるんだと思います。本作の作中で両親の子供に対するアプローチの変化は、親として子供目線で考えて何が最良なのか、双方が苦悩した結果生じたものという見方も出来、それが本作の持つ強いメッセージの1つだと感じました。

本作、最後が尻切れになっています。その後どうなったのか。離婚していた知人夫婦がそうなったように、元通りに戻っていて欲しいなと思いましたね。子供の独立を見届け中な隠居世代を除く全ての方々に見て頂きたい作品だと思いました。気になった方は、是非ご覧になってみてください♪

※夫婦(パートナー)は対等であり、相互に尊重しあうことを忘れてはならないとする作品でオススメなのは"マダム・イン・ニューヨーク"ですね。ご参考まで(・ω・)ノ