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クレイマー、クレイマーのnomamaniのレビュー・感想・評価

クレイマー、クレイマー(1979年製作の映画)
3.9
誰が出てるとかも知らないで見て、まずメリル・ストリープ出てきたときに若くて綺麗すぎて思わず、え!って声出た。
彼女はプラダを着た悪魔のつよつよお局のイメージがありすぎて、人間らしい弱さのある母の役がとっても新鮮だった。絞り出すような声で、涙を目に光らせながら喋る演技、こちらも心が苦しくなっちゃった。

名前は知ってたけどよく考えたらダスティンホフマンの映画はこれまで観たことなくて、魅力的な俳優さんだなぁと思った。

ジョアンナの「いつも私は誰かの奥さんで、母親で、娘だった」っていう言葉が胸に刺さる。いくら社会が変化しているとはいえ女性の自己実現の困難さは男性と比較するとどうしても際立ってしまう。
どう頑張っても(生物学的な役割において)女性は男性の、男性は女性の立場にはなれなくて想像することしかできない。それでもこの映画を見て、父も母も平等に1人の人間であって、生きがいを失っては生きていけないということ、子供がいることによる喜びと犠牲の間での葛藤や、私の今の人生は両親のそれらによって成り立っていることを知った。

『マリッジストーリー』と筋は似ているけど、時代が違うからか夫婦の在り方の描かれ方の違いがあって、その点も興味深いと思った。

父と子の関係性の変化が本当によく現れていて、特に最初と最後のフレンチトーストを作るシーンの対比はただただ感心してしまった。子役の演技がとても自然で、この映画のリアリティに大きく影響を与えていると思う。
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