雨丘もびり

クレイマー、クレイマーの雨丘もびりのレビュー・感想・評価

クレイマー、クレイマー(1979年製作の映画)
5.0
Timeline見てて「え、なんで今それ?」ってよく驚くあなた様へ。
ごきげんよう、私のばんです(^^)/

【マジさっき観て感激中w】
仕事大好き人間だった夫が、妻に離縁され、家事と育児も一人でこなさなければならなくなる。
朝ごはん、学校への送り迎え、エレベータ、夕ごはん、親権をめぐる裁判。
繰り返される同じSituationの中で、一歩ずつ変化を見せる父、子、そして妻の人となりが、ていねいに描かれる90分。

役者たちが実人生を乗せた即興演技、とっても奥深い。
(そういう映画作りができる環境を整えた監督が素晴らしい)
ことばひとつ、うごきひとつに血が通っていて、人物たちの過去まで透けて見通せるよう。
劇中すべての瞬間が大切に感じられ、愛おしく、とても私一人では味わい切れない。
ご覧になった皆さんの、好きなトコを聞きまわりたくなる映画。

"楽しい"を押し売りしてくる夫テッド(D.ホフマン)が痛々しくてもう最高なんだけどw、私は脇役の人々について、感想書きます。
私のスタンスは、全員、仕方ない(同情の余地あり)です。

【許して欲しくて泣くジョアンナ】
【許されたとわかって泣くマーガレット】
妻ジョアンナを演じるM.ストリープが凄い.....うん、凄い。
下まぶたで「限界」を表現。あぁ、この人は抱え込むタイプねと一瞬で理解できた。
思いをことばで伝えるのがニガテで、口を開けば「悪いのは私」で始まる私小説を語る。こういう人はなぁ.....自己完結して突然暴走するから危険。
うっすら自覚あるから子供と離れたんでしょう。一緒に窓から飛び降りる、最悪な顛末の寸前で。

男は、よくわかんない不平不満=たいしたことない悩みと考えてしまうから、流しがち。
かといって、いちいち取り合っていたらお互い潰れるし、夫婦ってほんとヤッカイですね。

テッドのジュースらっぱ飲みや、立ったままのトイレの音も、ジョアンナをさいなんでいたはず。
やめてとお願いしても通じなかったんだろうな。
その積み重ねで心が折れた。
「妻が突然、家族を捨てて出て行った」と思ってるのは、夫のテッドだけ。

パニックでかんしゃくを起こすテッド。
「.....彼女がオレにしたことが理解できるか?」
「そうね、あなたの最高な一日を台無しにしたわ(she loused up one of the five best days of your life)」

この一言で痺れた。取り合ってくれない相手がどれだけfrustrationかという、ね。
わぁ賢い、マーガレット最高(惚)。
さばっとしてて、何でも言い合えるマーガレット最高(惚)。
非を詫びるときに堪えた涙を、信頼を寄せられた時に流すマーガレット最高(惚)。
洗い物は下手なマーガレット最高(惚)。
Yes/Noで測り切れない人間の心情を、法廷で伝え切った勇敢なマーガレット最高(惚)。

本編の中で、私は彼女が一番好き。素敵で愛らしくて、憧れる。
ざっくりおしゃれ姐さん、いいよね(^^)。

【子どもの包容力】
「.....late(遅い)」
家庭不和に敏感で、心のバランスを崩しやすく、でもそれを言葉にするのが不得手な子供ビリーが健気。
ひどく寂しい。夫婦の機微もわからない。
でも、彼なりに、父親が落ち込んでいたら慰めるし、手伝ってあげられる。

"sleep tight, don't let the bedbugs bite"
おやすみのあいさつ、上の句をテッドが、下の句をビリーが言う。
フライパン加熱は父、たまご混ぜるのは子。
テッドが人の器を広げ始めたのは、ビリーの機転の良さとやさしさを、理解できたから。
ジョアンナも、ビリーをひとりの人間として捉え、信じてみてほしいよ。
家族のあり方に正解なんか無い。一度壊れるのも失敗じゃないって気がする。
大丈夫。あなたたちなら、大丈夫よ(^^)。

・・・っていうか、監督!!
終わり方の技アリっぷり、なにこれ!?気絶するほど悩ましい。
も~う!最高かよぉ~!?ずるーいずるーい!生涯気になるヤツじゃん。

床を転げまわって悔しがった私はホコリだらけなう(^^;)。
ビリーに掃ってもらいたいわw。