ぺっこり180度

クレイマー、クレイマーのぺっこり180度のレビュー・感想・評価

クレイマー、クレイマー(1979年製作の映画)
4.0
有名作。名作。
母親が突然何もかも投げ出して家を出る。残された父親は慣れないながらも全力で息子と向き合う。
家族の関係と成長の物語。

今や名優として名高い父親役のダスティン・ホフマン氏、母親役のメリル・ストリープ氏は言わずもがな、
当時若干8歳の子役、ジャスティン・ヘンリー氏の演技が最強。当時素人同然だったらしいのでこれは一つの奇跡。
(後世に残る作品には大小何がしかの奇跡が伴っているものなのだろうなあ。)
説得力が凄すぎる。
おかげで淡々とした内容だがぐいぐい引き込まれ、気づけばラストシーンを迎えている。

ただ、父親の描かれ方に比べて、随分母親の方がかわいそうな描かれ方だなとも思った。
メイキングを観たらなるほど。
本作は製作段階から、「当時実生活でも離婚協議中だったダスティンホフマン」も加入し、彼の意見や思いも大いに反映されている。とのこと。
それじゃあ、どうしても父親側に肩入れした表現をされてしまうよなあ。

また主役は父親の方なので、例えば父親が問題を起こした場合も、その前後のエピソードも感情もしっかりと描かれる事から、見ている人は共感・感情移入してしまう。一方母親は、父親目線で描かれるからどうしても身勝手でエキセントリックに見えてしまう。
しかし、それでもこの母親が「ひたすら酷い人には見えない」のは、メリル・ストリープ氏の役者力によるところが大きい。

アメリカの家族形態の変化、ウーマンリブなど時代の空気も捉えた良作だと思う。
あと何気に身につけているファッションが派手さは無いが良質・上質でとてもオシャレ。

で、最後は誰しも感想に書かずにはいられない事を書いて締めよう。
とにかくフレンチトーストの対比がたまらん。