ろ

カラー・オブ・ハートのろのレビュー・感想・評価

カラー・オブ・ハート(1998年製作の映画)
5.0


アダムとイブは禁断の実を食べた。
すると人間の中に感情という“色”が生まれた・・・。


白黒のテレビドラマ「プレザントヴィル」の世界には怒りも暴力も悲しみもセックスもない、それは“愉快な(Pleasant)村(Village)”だった。
人々は毎日同じ行動を繰り返し、白紙の教科書を読み、何も考えずに暮らしていた。
そこへ二人の若者がテレビ画面の向こうからワープしてくる。
町の若者たちは愛を覚え、本には文字が、外では雷雨が轟き、人々の頬はバラ色に染まる。

鮮やかな洋服に身を包み、本を手に歩く若者たち。
店先に座る大人は変化を恐れる。
ハンバーガーショップのウォールアートをきっかけに、“色は危険”だと囁き合う人々。
「これ以上色を増やすな。新たに条例を作ろう」
そしてプレザントヴィル史上初の裁判が開かれる・・・。


誰の心にもあるはずの怒りや憎しみや悲しみがこの世界にはなかった。
争いのない平和な世の中、それは人間にとって理想郷なのかもしれない。
しかし、それでは愛も文化(アート)も生まれない。
人間の素晴らしさはむしろそういうところにこそある。

芸術は破壊され、書物は燃え盛る炎に投げ込まれた。
反対派(保守派)によって、“色”はどんどん抑圧される。
しかし押さえつければつけるほど、空には虹がかかり、その色数は増えていく。


プレザントヴィルに“色”をもたらした双子の兄妹。
はたして二人は現実世界に戻れるのだろうか、それとも・・・。

はじめは住人たちのようにモノクロだった二人がカラーになる。
それはまるでパッと花開く一瞬の美しさなのです。


( ..)φ

感想を書きながら思い出していたこと。
それは宇宙大作戦(スタートレック)の「死の楽園」というお話。
「死の楽園」でわざとスポックをブチ切れさせて正気に戻す場面がある。わたしはこの場面がサイコーに好きなんだけど、「カラーオブハート」でも同じように感情に訴えかけて呼び起こす場面があって、それがめちゃめちゃ素敵だった。
ろ