海岸

他人の顔の海岸のレビュー・感想・評価

他人の顔(1966年製作の映画)
1.1
これを今上映する価値はどこにあるのか、そして私はこれ以上見る意味はあるのか自問が止まらなかった。私が映画から求めているのは光学的、あるいはナラティブ的な面白みや新鮮な遊びであるもなの、この耽美陶酔的な美術でいくら冒険しようが、まずホンが崩れていたら無なのだと再実感。
自我について語るのに、なぜただれた顔が必要なのか、「剥がせない仮面と剥がせる仮面がある」なんてことを聞くために何時間も金払ってじっと座ってたかと思うと、時間を無駄にした自分が情けない。自分vs仮面という葛藤でなくても、人は人を殺すし、自分も殺す。エゴの問題を顔の崩れという特殊な設定で声高にかたっている風なのがそもそも面倒臭い。ストーリーは無駄に悲惨だし、有難い説教はいちいち興醒めで白目。こんな物見るくらいならサルトルハイデガーまとめをYouTubeでもみた方がいくらか有意義。少なくとも彼らはもっとポジティブだから。
勿体ぶっている上に説明過多。台詞が哲学の先っちょだけふれているだけであとは堂々巡りの哲学風マスターベーション。顔のない眼やオペラ座の怪人が見たくなる。
知的障害役をやっていた、田中邦衛がコメディにしか見えない。あれは狙いなのか。直感的に非常に不快。
これは無理だ。さよならミニシアター。いままでありがとう。
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