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イン・ザ・カットのRのレビュー・感想・評価

イン・ザ・カット(2003年製作の映画)
3.6
なんとも言えない変な映画やった。まず主演のメグライアンがかなりおばちゃんになってて、内にものすごい欲求不満を渦巻かせてる文学の教師フラニーを、得意のラブコメの時の様子とはまったく違ったテイストで演じてて驚かされる。茫漠たる砂漠のような日常を、一見毅然と生きてるようで、ほんとは渇望でフラフラ。そんな彼女を唯一潤すのが愛についての詩なのだが、ある日、バーの地下のトイレ前で、フェラチオが行われてるのを目撃。手首にタトゥーのある男としゃぶる女とペニスをじっと見つめる彼女の中に、性的な興奮が澎湃と湧き上がる。後日、その地下の女がバラバラ死体で発見され、バーにいた彼女を取り調べに来た若い刑事の手首に、あの時と同じタトゥーを見つける。その刑事を演じるのがボクの大好きなマークラファロ。荒々しさと繊細さを持ち合わせた彼のセクシーさに悩殺されたフラニーは、その夜、妄想を膨らませながらオナニー。ある日、彼にデートに誘われ、危険を忘れてベッドを共にするのだが…という流れ。メインテーマは、フラニーの中に蠢くコントロールできない性欲と、人間の意識や記憶の曖昧さで、それをシャローフォーカスを駆使したボケボケの映像が、危うい美しさで見事に表現している。同時に、何度も起こるバラバラ殺人の犯人が誰なのかが明確にならないため、周りの男たち全員が怪しく思われるミステリーでもあり、ゆえにパラノイア的なグラグラ感も加わって、フラニー完全にキャパオーバー。そんな彼女を更なるパンチが襲いかかる。全体的に、オシャレで意味深で良いテイストだとは思うのだが、キザでアーツィーな匂いが少々強すぎるのが欠点かも。とにかくフラニーが悶々と性欲に支配されてるため、見てるこっちがそれに乗れなかったら悲惨なほど置いてけぼりを食らうのではなかろうか。ボクはまぁまぁ乗れたのでそこそこ楽しめたけど。マークラファロがエロカッコいいのが良かった。彼のファンにはたまらんシーンが多数。てか、このジェーンカンピオンって監督は、女の抑えつけられた性欲ばっか映画にしてる気がする。どないしたんやろか? 女性の性欲が抑圧されてきた長い歴史が、現代の女性の在り方にものすごく響いてるからだろうか。はたまた、男子の性欲のピーク=10代後半に対し、女子のピーク=30代後半から40代、その年齢になると若い時ほどセックスのチャンスがなくなるから大変だよね、ってこと? または、受け身になりがちな女の性の危うさを描きたかったのかもしれない。常に男にコントロールされてきたことによる呪縛。それをおりゃっとひっくり返したりする。でもねー、こんなにセックスばっかに取り憑かれて暮らしてる人たち、現実にいないんじゃないでしょうか。いや、まぁおるか笑 でも、そんなぎょうさんはおらんやろ。いや、おるか。てな感じで性のテーマが濃ゆすぎて、ミステリーの部分が若干ボケてしまってるのは残念。ケビンベーコンの哀しき恋するセミサイコな感じもよかったし、牡牛のように体のごっつい黒人の学生が若々しい性欲に煩悶してる様子もかわいくてよかった。評価低いけど、そこまで悪くはないと思いますよー。ノレさえすればね。あ、これ重要⇨マークラファロ大ファンにはキュンなシーンがいくつかある。
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