オアシスの作品情報・感想・評価

「オアシス」に投稿された感想・評価

イ・チャンドン監督祭り#1。新作「バーニング」公開記念でHDリマスター上映。韓国映画には疎く初見。
出所したての前科者が、無遠慮にも死んだ被害者の家に行き、そこで脳性麻痺の被害者の娘と出会う。
この前科者の行動が見るに耐えない不快さで、途中退席しようかと思ったら…とんでもない傑作へと変貌していき、驚きを禁じえませんでした。
ムン・ソリの演技が凄まじく、脳性麻痺の役者なのかと思うほど。明るい空想シーンは「ダンサーインザダーク」のセルマを思い出しました。
あまり他人には勧められないけど、本当に観てよかった!
オアシスとは

①砂漠の中で、水が湧き、樹木の生えている所。
②疲れをいやし、心に安らぎを与えてくれる場所。憩いの場。
goo辞書

となる。 


地下鉄のホームや自動車修理店、彼女の部屋でのマジック

マジックが必要だ
こんな世界には


どれほどの志を持てば、こんな映画が作れるのか。
影が、怖いと言ったから。
yamyos

yamyosの感想・評価

4.3
この世にこれ以上のラブストーリーが存在できるとは思えない。
せーじ

せーじの感想・評価

4.6
208本目は、観よう観ようと思っていて観れなかったこの作品を。
思っていた以上に余韻が後を引く、イ・チャンドン監督作らしい非常に重たい作品でした。

まず驚いたのが、ヒロインを演じた女優さんの演技。
10分間の撮影ごとに身体をマッサージしながら挑んだそうだが、それでも撮影後に身体を痛めてしまったという。並大抵の覚悟と演技力が無いと出来なかったことだろう。加えて、彼女による映画的なイマジネーション表現が、ほぼ全編に渡ってスパークしていて、観ていて思わず画面に釘付けとなってしまった。鳩、蝶々、ペットボトル、そして「魔法」…。ヒロインの人となりや考え方をスマートに説明する手際の良さも去ることながら、何よりそれらがどのシーンも美しく儚いのだ。なんて美しいのだろう…と思うのと同時に、それは彼女にしかわかりえない儚さと切なさであることにも気がついてしまい、胸が締めつけられてしまう。
元から彼女は自分の世界を抱いている「オアシス」の住人だったのだ。

その「オアシス」に迷い込んだ主人公のキャラクター造形も秀逸で「非常識な形でしか行動できない人=行動原理自体は純粋な人」という見せ方が巧いので、知らず知らずのうちに彼自身の危なっかしさにハラハラし、なんなら彼ら二人を応援してしまいたくなるような気持ちになってしまう。のちに分かる"彼と彼の家族との間にある秘密"というカードの切り方とタイミングも上手いし、序盤彼が彼女にはたらく"悪事"の件も、終盤の展開でしっかりと報いを受けさせる構造にしているというのも秀逸だと思う。
本来どうしようもない存在である主人公に、しっかりと感情移入をさせる工夫が整えられているというのが凄い。

そのような、家族に見捨てられ世間にも冷たくあしらわれてしまっている二人が、互いに惹かれ合い、愛を交わし「オアシス」を抱く姿を観るにつけ、そして引き裂かれてもなお「魔法」をかなえようとする彼とそれに応えようとする彼女の姿を観るにつけ、「愛がどこにでも宿る可能性」や「ほんとうの美しさとは何なのか」を考えずにはいられなくなってしまう。同時に、彼らしか知り得ない「オアシス」の「彼らしか知り得ないという特別さと贅沢さ」に心が強く揺さぶられてしまって、それ以上は何も言えなくなってしまいました。

132分と少し長い作品ですが、没入感が凄く、エンディングまであっという間だった気がします。特に主人公の振る舞いについては賛否が分かれそうですが、自分はとても純粋なラブストーリーだと思いました。
大切な方と、ぜひぜひ。
SUPERTIGER

SUPERTIGERの感想・評価

5.0
別にいいじゃねぇか

誰が誰を好きになっても。

迷惑なのは
お前らの冷たい視線だよ
joker

jokerの感想・評価

4.0

このレビューはネタバレを含みます

障害を持っている人たちの、
純粋なラブストーリー。

と言えば聞こえはいいが、
そんなに簡単にはいかないことを、
この映画が証明してくれる。

レストランで食事をすることも許されず、
部屋でSEXすることも許されない。

街で見かけるカップルがいつもやっている行為を、世間は彼らには許さない。

同じ人間が、
結局人間を縛り、
息苦しくさせている。

遠い海の向こうの話ではない、
この国も同じ嘆きを抱えている。
社会不適合者の男と脳性マヒの女との恋愛ものです。男は社会不適合者であるがゆえなのか、この映画に出てくる健常者のもつ障害者への哀れみの視線や、彼女に対する気味の悪さを持つことがありません。ファーストコンタクトでごく普通に欲情して乳揉んでしまいます。レイプされかけたにもかかわらず電話で呼び出す彼女の孤独感が否が応でも家族への信頼のなさを映し出します。また男も前科者ということもあり家族から鬱陶しがられ、いわば二人とも世間の厄介者として存在しています。そんな二人がお互い惹かれ合い、仲良くなっていきます。仲良くしているシーンで時折女の子が健常者のように振る舞うシーンは白昼夢のようで悲しくもなり、現実や世間そのものを超えて愛し合っているようで、胸を打たれました。特に、将軍、姫の呼び合うシーンや、カーセンターでじゃじゃ麺食うシーン、夢の中のインド人との踊りのシーン、高速道路での抱っこされて叫ぶシーンなど、なんか世界の広さに圧倒されて泣いちゃいそうで。二人の家族への罵倒はわたしにも返ってきそうなので控えますが、いつ私の家族が障害者や犯罪者になるかわかりませんし、自分だってそうなるかもしれませんので、近いこととして考えるきっかけになる映画だと思います。
不器用な将軍と純粋な姫のラブストーリー。

観ているだけで痛々しいストーリーだが、ふとした瞬間に姫が元に戻るシーンは、普段の『当たり前』がどれだけ幸せかを、改めて考えさせてくれる。
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