千年女優

アモーレス・ペロスの千年女優のレビュー・感想・評価

アモーレス・ペロス(1999年製作の映画)
3.5
兄の嫁に心奪われる青年で虐待的な兄から彼女を守ろうと闘犬で金を稼ぐオクタビオ。出版社勤務の既婚男性を不倫の末に奪い取って愛犬と彼との生活を始めたスペイン出身モデル、バレリア。犬を携えて街を徘徊する殺し屋で人知れず別れた娘を想うエル・チーボ。メキシコシティで暮らす犬を欠かせぬ三人の愛と交錯を描くドラマ映画です。

共同で会社を設立したギレルモ・デル・トロやアルフォンソ・キュアロンと共にメキシコ人監督の存在感をアピールするアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥの長編映画監督デビュー作となる2000年公開の作品で、カンヌでの好評を得てオスカーにノミネートされるなど成功を収めて後にアカデミー賞監督となるキャリアの礎となりました。

後の作品でも代名詞となる作品全体で主題を語るイニャリトゥらしい群像劇で、二千万人以上の人口を抱える混沌の都市メキシコシティにおける愛憎入り混じる生活を描きます。語り口の周到さの一方で意外に対象そのものへの関心はおざなりな印象も受けますが、処女作故の荒々しさが舞台や題材とマッチしてグルーヴを生んでいる一作です。
千年女優

千年女優