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ポロック 2人だけのアトリエのカントのレビュー・感想・評価

3.6
アメリカを代表する、
現代美術、最高峰※の芸術家ジャクソン・ポロック。
模索、賞賛、挫折、愛、開眼、絶賛、マンネリ、夭逝の軌跡を描く。
※何をもって最高峰と言えるか…ズバリ“$”です。

ポロックの絵を見ると…
『何これ?グチャグチャ!』と思うのが普通。
でも…それが…200億円の作品って言うんだから!!美術業界は狂ってる(笑)

学校の美術の教科書には抽象表現の絵画技法が紹介されていますね。
ドリッピング、フロッタージュ、マーブリング、デカルコマニー技法など。
(技法の名称は知らなくても子供の頃やったでしょ?)
今や、当たり前の絵画技法で、幼稚園とかでも推奨されている技法です。

ポロックは、ドリッピングの元祖。

1941年。NYグリニッジビレッジ。
新進抽象画家のポロックがボヤく。
「ピカソめ!くたばれ!何もかも、やっちまいやがった!」
※ピカソは、青の時代、薔薇の時代、キュビズム、抽象まで、何でもござれの巨匠。

そんなポロックの初期抽象作品を賞賛する女、リー・クラズナー。
「あなたの作品は、心に訴えてくる」と積極的。
心神喪失気味のポロックは戦争の兵役を免れていた。

ペギー・グッゲンハイム女史との出会い。
ポロックは抽象絵画を描きながらも、抽象芸術の議論を“観念の遊戯”と感じて参加しない。
イヴ・クラインや、デ・クーニングとバカ話する方が性に合ってる。

ペギー・グッゲンハイム女史の玄関を飾る作品、
247cm×605cmの大作。
一気呵成に一晩で完成!

ポロック役を演じたエド・ハリスの、まるでポロックが乗り移ったかの様な制作スタイルが見所。

ロングアイランドでの自然に囲まれた新生活。
辛口評論家クレムの指摘が耳に痛い。
自分で構築した画面を、他人の指摘で簡単に修正できるものじゃない。
そしてモンモンとする日々。

アトリエで、偶然、床に垂れた絵の具の面白さに、これだ!と開眼。
ついにポロックの新境地。

LIFE誌の取材でポロック人気、沸騰!
「焼いたマカロニの絵?」と酷評していたアート・マガジンも絶賛し始める。

以下、ネタバレになってしまうけど…
44歳の若さでポロック死去。

美術業界の立場から見ると、とても不遜な事だけど「良い時期に死んだ」と見る。
ある程度の作品数を残して、時代性が有って、一定の評価が有る芸術家の作品は…高騰の一途!

現在の日本の美術業界では、村上、奈良、ヤノベ、天明寺、草間、など…早く死なないかなーと手ぐすね引いてる関係者が居るのも事実。
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