亘

8人の女たちの亘のレビュー・感想・評価

8人の女たち(2002年製作の映画)
3.8
【ドタバタ密室ミステリーミュージカル風】
フランスの郊外にある屋敷。クリスマス休暇で大学生の長女シュゾンが帰郷する。家族が集まって彼女の帰郷を祝うなか次女キャサリンが父マルセルの死を報告する。一家は屋敷内で犯人捜しを始める。

戯曲をベースに密室殺人を巡るドタバタミステリー。8人の女たちは全員が容疑者で全員何か裏がありそう。カトリーヌ・ドヌーヴやイザベル・ユペールといった名女優の共演は華やかで、ミステリーとして犯人捜しも楽しめるけど、それと同時にカラフルな衣装や各メンバーの性格が分かる歌も面白くて見どころ。

8人の女たちは以下の通り
・シュゾン:長女。ロンドンの大学に通う大学生。
・キャサリン:次女。生意気な高校生。
・ギャビー:母。マルセルの妻。
・アグスティーヌ:叔母。毒舌で男性との交際経験なし。
・マミー:祖母。マルセルの義母。
・シャネル:黒人のメイド。勤続長い。
・ルイーズ:最近来たメイド。
・ピエレット:マルセルの妹。娼婦。

各自が皆何かを隠していて、直接的・間接的にマルセルを殺す動機があるように思える。そして犯人探しが始まってから途中参戦するピエレットは、様々な事実を暴露するしそれまでの空気を壊して風穴を開けるような役回りで良い役回りだと思う。

密室殺人の謎解きも面白いけど、それとは別に各キャラクターの性格や経歴・恋話も明らかになる。特に各自の歌の内容が違ってくる。アグスティーヌは交際経験がないからそのせいか少しひねくれていて、それでもまだ恋をあきらめていない。例えばピエレットは、娼婦として様々な男を弄んできたけど未だ本当の愛を感じられてはいない。シュゾンは、恋人ができて妊娠してしまった。そして相手のことを忘れられずにいる。キャサリンは早く恋をしたい。そしてシャネルは実はレズビアン。8人それぞれ別のキャラクターを持っている。

初め8人は犯人探しで互いに疑心暗鬼になっていたけど次第に距離を縮めていく。アグスティーヌは、男を誘惑するためにルイーズからセクシーさについて講義を受けるし、憎み合ってたピエレットとギャビーは急接近する。そしてルイーズがメイドの衣装をやめてセクシーになりアグスティーヌもきれいにメイクして全体的に華やかになる。終盤は女性ばかりの華やかなパーティのよう。

そして遂に真実が明かされる時が来る。マルセル殺害の真実と前夜からの一部始終がわかるのだ。この密室殺人の原因については、マミーの歌う曲の歌詞「確かなものはない。幸せな愛はない」がよく表していると思う。

印象に残ったシーン:各自の歌のシーン。ルイーズがメイド服をやめるシーン。真実が明かされマミーが歌うシーン。
亘