<概説>
誰もその素性を知らず、不可解な手段で金を巻き上げていく老賭博師Dr.マブゼ。彼と官憲の死闘を3時間超に渡って撮影した、サイレント映画時代の傑物サスペンス。
<感想>
4時間超のものを視聴しましたが苦になりませんでした。
サスペンス作品にしては説明調の字幕も多くなく、映像で全貌を説明しようという意欲的作品。これが1920年代に公開されたというのですから、古典映画はやはり侮れない。
映像技法についてもカットバックの手法等は言わずもがな。時計のショットで時間変化を表現したり、舞台セットで幻覚を表現したり、唸りたくなる前衛的な表現が多々あります。
なによりアノ表現は痺れましたね。
催眠術をかける瞬間に画面がブラックアウト!
そしてそこからマブゼ博士の顔がズームアップ!
これが実に不気味でいい風格を演出していました。
ドイツ表現主義の代表作だなんて肩書きに騙されず、サイレント初挑戦の娯楽映画として見られるいい作品だと思います。