ケンヤム

Endless Waltz エンドレス・ワルツのケンヤムのレビュー・感想・評価

4.5
大衆対前衛
まとも対気狂い
正常対異常
世間対孤独
セーラー服を脱がさないで対フリージャズ
三流雑誌対地下のライブハウス
世間対精神病院
太く短く対細く長く
この世対あの世

この映画の最後セーラー服を脱がさないでが鳴り響き「まとも」は勝利したように見える。
が、最後この世に居続けようとする広田レオナはあの世の町田康に連れて行かれる。
まともな世界に残された少女。

冒頭のナレーションのように、もし人生の絶対量のようなものがあってそれを使い切った時人間が死ぬのだとしたら、俺はその絶対量をちびちび使って細く長く生きてしまうだろうなと思った。
クスリ飲むのも怖いし、足の小指切るのも怖いし、女殴るのも怖いし。
阿部薫みたいに、一気に使い切って痙攣するように、狂ったように生きることも覚悟がいることだろうけど、まともに生きることだって覚悟いるだろうとも思う。
まともに生きることそのものが狂うことだから。
ちびちび、グダグダ、細く長く生きようと思った。

なのに、この映画の狂気に羨望の眼差しを向けている自分もいる。
狂った世の中で狂いたいと思うのはまともだと思う。
ケンヤム

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