ギズモバイル

哀しき獣のギズモバイルのネタバレレビュー・内容・結末

哀しき獣(2010年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

≪ざっくり評価≫
複雑なシナリオとてんこ盛りなバイオレンスが見所。
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総合評価 (/7) ☆ 3.3
シナリオ 4
総合演出 4
独創性 3
完成度 2
心理効果 4
相性(*2) 3
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【ネタバレ】
借金返済と別居中の妻を探すために、韓国での殺人単発バイトを請け負う朝鮮族の主人公。ターゲットを監視中に赤の他人がターゲットを殺すのを目撃してしまい、中国に帰ろうとするも依頼人と連絡が取れず路頭に迷う主人公。真犯人は目撃者である主人公を消そうとするうちに依頼主に辿り着き、依頼主が主人公の殺しを請け負うことに。結果的に真犯人・依頼主・警察に追われる主人公だが、他の登場人物がゴミのように死んでいく中で何故か最後まで生き残るものの、最後は力尽きて海に還る。妻は行き違いで中国へ。真犯人は痴情のもつれによる別件が奇跡的に鉢合わせしたものだった。

≪突っ込んだ感想≫
なかなかのどん底スタートの主人公だが、悪人ではないものの好感の持てる要素が少ないので感情移入は難しい。意図的なものだろうけど、そういう無機質的な主人公を軸に、悪人同士が殺し合いまくるのがこの作品の魅力だろう。登場人物のキャラクターが立っており、片やエリートヤクザで、片や被差別民族の親分。親分が人類最強レベルに強くて、この作品で最も印象を残す人物と言えるだろう。個人の武力で大概の問題が片付いてしまう世界観なのだが、戦闘員の標準装備が包丁なので仕方がない。まあそういうのも含めて、なかなか観客の想定を超えた、思い切った展開が楽しめる。予想の裏切り方にセンスを感じる監督だ。シナリオ全般は良く言えば複雑で、悪く言えば解りにくい。とはいえそれはノワール作品としては二の次の要素なので大した問題では無いだろうが、まあ薄っぺらいシナリオよりは作りこんである方が価値があると個人的には思う。

親分はミョンという名前で、ミクシィのHNでは女性かネカマぐらいしか使わなそうな可愛い名前だが、作中ではヒグマのような貫禄がある。他の作品では小柄に見える俳優さんなのに、本作では巨漢に見える不思議。あとパトカー追跡シーンは一見の価値あり。みんな仮免中なのかな?