こたつむり

ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士のこたつむりのレビュー・感想・評価

3.5
♪ 君の戦いの歌 闇にひびいてゆけ
  易すい明日 求めていないから 
  君のfighting

『ミレニアム』三部作の完結編。
というか、完全に前作の続き。なるほど。確かに前作は“ぶつ切り”で終わりましたが、それは「前編」だったからなんですね。

だから、勢いが違うのでしょう。
本作は抑圧された感情を解放するかのように“気持ち良い”場面が多いのです。

特にこのシリーズは女性の解放がテーマ。
暴力や虐待、レイプなど女性に対して酷いことをした者たちへの反撃が“爽快”なのです。

ゆえに敵組織が“ショボい”のも必然。
これがガチガチに強かったら“爽快”感が薄れますからね。自分たちはエリートだと思っていたけど実はボンクラだった…このギャップが良いのです。

また、脇を固める男性陣は素敵なんですよ。
前作ではボクサーの彼、本作では医者の彼。プロ意識に基づいた“真っ当な感覚”と、ほんの少しだけ“寛容”なところが最高に格好良いです。

ただ、本当にスゴいのはハッカーの彼ですけどね。映画でありがちの“電脳世界ならば何でもできる”ポジションなので、美味しいところを全て掻っ攫っていきます…が、表に出てこないのが心憎いです。

まあ、そんなわけで。
北欧ミステリ…ではなく、国家に巣食う闇の組織との闘いを描いた物語。謎解きに期待すると完全に肩が下がりますので、ダークヒロインであるリズベットの反撃を楽しむ姿勢が吉です。あと、終盤は蛇足感が満載ですけども、その辺りも大目に見たほうが良いのでしょう。

最後に疑問点。
サブタイトルの『狂卓の騎士』って誰のことでしょうか?敵組織のことなのかな、と思っていたら『班』と呼ばれていたし…リズベットの兄ちゃんにしても騎士と呼べる立ち位置じゃないし…まさか、ミカエルのこと?今回も見せ場が少なかったと思うんですが…。うーん。
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