福福吉吉

仄暗い水の底からの福福吉吉のレビュー・感想・評価

仄暗い水の底から(2001年製作の映画)
4.0
離婚調停中の淑美(黒木瞳)は5歳の郁子の親権を勝ち取るため、自立しようとしていた。そのため、古いマンションへ引っ越した淑美だったが、そのマンションの部屋の天井から水漏れが酷く、また水道の蛇口からも汚れた水が出るなど不具合が多く、淑美は不安を覚える。そして、郁子が姿を消したり、意識を失うなどの不可解な現象が起こり始め、淑美は精神的に追い詰められていく。

ストーリー全般に雨などの水を基調にした陰鬱な雰囲気を醸し出しながら、子を思う母親が不可解な出来事に振り回され、精神的に追い詰められる姿を描いており、観ているとどこか不安を覚えるシーンの連続で気持ちが落ち着かない演出が際立っていました。

母の淑美は自分の幼い頃、母親に放置されていた経験から人一倍、娘を大事にしており、その気持ちは映像から強く伝わってきます。しかし、それが故に、娘の身を案ずるばかりに淑美は常に精神的にギリギリの状態が続いていて、観ていて彼女の行動にも不安を感じました。

前述のとおり、本作は水に関する描写が多く、映像からジメジメして不快に感じるようになっていて、それが不可解な出来事を一層、不気味に感じさせるようになっていて、日本のホラー作品ならではの怖さを演出していました。直接的に怖がらせる演出はほとんど無く、母の淑美の気持ちに感情移入して、彼女の感じる不安を観ている側にも感じさせるようになっているストーリー構成は良かったと思います。

とても面白い作品でした。まさにJホラーと言える作品でした。

鑑賞日:2023年5月14日
鑑賞方法:U-NEXT
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