ゆうちゃん

仄暗い水の底からのゆうちゃんのネタバレレビュー・内容・結末

仄暗い水の底から(2001年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

怖かったけど、それよりもどこか哀しくさみしい物語だった。
この映画の原作の作者はリングの作者なので、ジャパニーズホラーらしくじわじわとくるリアリスティックさでホラー映画としての出来がいい。
けれどもそれ以上に物語としてとてもいい映画だった。

映画中盤で、娘の女の子が「わたしママだけでも大丈夫だよ」とママに言ったところ。なんか泣きそうになってしまいました。こういう子供の嘘偽りのない言葉ってなぜかすごく救いになることがありますよね。
古い団地の閑散とした無味な不気味さ。
親が忙しいか家庭環境が複雑でいちばん帰りの遅い子、幼稚園の頃いましたね。あまり覚えてないですが、幼いころの寂しさって覚えて無くてもずっと残ると思います。

実はこの映画ができたあとにエリサ・ラム事件というこの映画とまったく同じ状況の事件がアメリカで起きています。ラムさんは女子大学生で双極性障害など罹患されていたようで、彼女が屋上に上がる前にエレベーターのなかで非常に不審な行動をしているのが監視カメラに映っておりYoutubeにも公開されています。
原作者の想像力のすごさがわかります。貯水槽のなかに遺体が残ったまま。そして不審な水漏れに目をつけるところ。さすがです。
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%AA%E3%82%B5%E3%83%BB%E3%83%A9%E3%83%A0%E4%BA%8B%E4%BB%B6

物語の登場人物は主に3人。
離婚調停中の母(黒木瞳)。その娘。そして行方不明中の女の子。
はじめの母も両親が離婚しており、そして行方不明中の女の子も両親が離婚し、3人とも女の子で幼い頃に淋しい思いをしている。そのためか母も娘もどこか感受性が強く、霊感?というか何らかの想いを受け取ってしまうところがある。
おそらく行方不明中の女の子も、この母と娘が自分と同じような環境に生きていたから、自分を見つけ出してくれると思ったのだろう。だから他の住民ではなくこの母子に訴えをかけた。
その印がはじめの水漏れだろう。

行方不明の女の子は、母の愛を欲していたんだろう。決してもう受け取れないもの。だから引っ越してきた娘が羨ましかったのだろか。

最後のエレベーターのところは評価が分かれるところらしい。
低評価の人の言い分は、娘が大切なら死んでもそっちに行くでしょうということらしい。。。
いや、私には娘が大切だからこそ寂しい思いをさせてもこの行方不明の女の子のママになることを選んだように見えましたね。そして、閉まったエレベーターのなかで母が本当の娘を見る表情。これから娘が母なしで生きていく寂しさをも見通して、強く生きていくことを訴えかけたように見えます。
そして最後は、上の階でエレベーターのドアから水がバッシャンと吹き出て流れ出す。地味にこの演出が好きです。
どうなったかなんてことは何も描かれない。水になって溢れ出したという描写がすべてを表してるから。